▼学級担任をしていた頃、「生活ノート」という名の回覧日記を実践していた。子どもが書いた日記に親がコメントを含めて文を書く。親子の文を読んで学級担任である私が書く。それが、クラスを回る親子日記。

▼学級経営でいろいろと学ぶことがあり、私立小学校校長の時、一年生で実践をした。退職して数年になるその後、「先生、いいものありますよ」と三行日記を見せて下さった。一週間の日記を見たお母さんがコメントに「お誕生日おめでとう。五年前のお誕生日も平日で、当日、お祝いできなかったことを親子日記で書いたところ、吉永先生から『ささやかでいいので、当日、お祝いしてあげましょう』というアドバイスを頂きました。それ以来、忙しい日でも、当日お祝いをしてきました。」書かれていた。その日記には担任からの「今日はおたん生日。おめでとう」の赤ペンに答えてのもの。五年も前のことを覚えていて下さったことがうれしかった。

▼もし、三行日記に「おめでとう」の担任の先生の文字がなかったら、お母さんは別のコメントを書かれただろう。お母さんのコメントを担任の先生がコメントに注目しなかったらそのまま。注目して、私に届けようとなさらなかったら、素通りのまま。いくつかの偶然が重なってうれしさが倍増された日記だった。偶然を生み出してくださった先生の「感性」に感服。(吉永幸司)