資料の良さに気づく説明文の読み
蜂 屋 正 雄

 5年生の説明文「天気を予想する(光村)」は、元高校教師で写真家、現大学教授である作者が、小学生へ向けた書き下ろしの説明文である。アメダス・気象レーダー・静止気象衛星など、専門用語が多く、読解の苦手な子にはしんどいと予想できた。
 そこで、今回は、教科書教材を「字だけのプリント」と「図表だけのプリント」に分けて子どもたちに提示し、「挿絵がどこに入るかを考える。」ことで、楽しみながら読みを深められるように、学習の流れを考えた。

   はじめ、図表のない説明文をわたされた子どもたちは、
 ○絵がなくて、字ばっかりだとつかれる。
と感じながらも、線を引きながら文を読み取り、
 ○天気を予測するのにことわざが使えることに驚き、面白いと思った。
 ○「『今、ここ』で天気の変化を予想し、判断するのは一人ひとりなのです。」に納得した。
と、感想を交流していた。また、これまでの説明文の学習を元に、いきなり具体例や事実から始まっていることなど、気づいたことを確認しあった。

 そして、いよいよ、子どもたちに、図表のプリントをわたすとき、「実は、この説明文には図表がたくさんあります。どの図がどの文の近くに入るかを考え、なぜ、そこに入れたのかを言えるようにしてほしい」という、その日の学習のめあてを伝えた。子どもたちは「やっぱりな」という子が半数強、「そうなの?別にこれでも」という子が2割、「えー、そんなんわからへん」という子が2割、といった反応であった。
 まずは、一人勉強、文と向かい合ううちに「上の表は」という文に気づく。「アメダス」「気象レーダー」といった図表は、文章にもその言葉が入っていることにも気づき、どんどんと図表の入る場所を予想していった。

 一人勉強で予想した図表の場所は、3枚をのぞけば、みんなの意見はほぼ一緒で、班で交流することで自信をつけた子どもたちは、次々と予想を発表し、図表の場所を決めていった。その時間の最後には、預かっていた教科書を返し、答え合わせをした。
 最後のページに3つ並べてあった、「富士山」「積乱雲」「うろこ雲」以外は、ほぼ予想どおりで、読み取りが苦手な子も楽しみながら、自分の予想と理由を交流し合えた1時間だった。特に文にはない、「うろこ雲」の場所については、「ことわざ」の所という意見と、「天気に関する意見」というあたりで意見が分かれていたが、お互いの予想を聞き合うことで、それぞれの記述について気がつくこともできた。

 今回の学習では「図表がある方が作者の主張は説得力を持つこと」、また、そのために「伝えたいことに合う図表が用意されていること」に気づいた。今後は、理科や社会科、総合的な学習の時間での学習を新聞やポスターでまとめるときに、書き手として図表の良さをいかせるようにしていきたい。
(草津市立矢倉小)