この絵、私はこう見る
岡 嶋 大 輔
前単元で扱った「『鳥獣戯画』を読む」(光村6年)の書きぶりから、筆者である高畑勲さんが『鳥獣戯画』のことが大好きで、アニメーションを作る立場からも、その作者やそれらの文化遺産を守り続けた人々への尊敬の念が強いということが伝わってくる。この文章を読んで『鳥獣戯画』の世界に引き込まれ、それをもっとじっくりと鑑賞したいと感想を持った子どもも少なくなかった。 そのように思わせるのは、文章のどういった所からなのか、みんなで探り、見つけたことを参考に自分が興味を持った作品について文章を書こうと投げかけた。 「『鳥獣戯画』を読む」や教師が用意したモデル文から、学級のみんなで次のようなポイントが出された。 ・実況中継みたいに書く。 ・絵から想像したお話を書く。 ・語りかける言葉を使う。 ・ある部分に注目して書く、ポイントをしぼる。 ・伝わってきたことを書く。 ・もしも自分だったらと考えて書く。 ・違った視点から二つのことを書く。 ・初めて見た時の様子を書く。 ・それを見る時の気持ちを書く。 ・これから自分に取り入れたいことを書く。 ・最後に、まとめや意見、自分の考えを書く。 書く題材は、図工の教科書に付属している絵画や立体作品が一枚一枚に載っているカード四十枚から心魅かれたもの、もしくは、今自分が「素晴らしい」「大好き」だと思う文化芸術的なものを一つ選ぶようにした。文化芸術的なものとは、絵画、立体作品以外にも、音楽、映画、小説、漫画等も含めた。 T男はやんちゃでおしゃべりだが、「書く」となると固まってしまい、いつも一、二行書くのが精一杯の子である。今回、次のようにたくさん書けた。 題「これがスゴイ、STAND BY MEドラえもん」 興味のあることと結び付けて自分の思いを表すこと、本当に生き生きと書かれた文章をモデルとすること、その文章の「いいなあ」と思うポイントをみんなで考え出し合ったことが、T男にはぴったり合ったように思われる。そして、日々どの子も「よりよくなりたい」と思っているということを改めて感じた学習であった。 (野洲市立野洲小)
|