線を引いて読もう
蜂 屋 正 雄

 5年生である。1学期の物語文では、「あらすじ」や「山場」「主人公」「副主人公」「山場前後での主人公の成長」「副主人公のかかわり」など、基本的な物語文の構成や学習用語を整理し、学習用語を使いながら、物語の良さについて交流できるように学習を進めてきた。
 「物語文は自分が感じる良さを友達に伝えられれば良い」と伝えているのだが、正解を求めがちな子供たち。自分がどう感じたかよりも、どう感じるのが正しいのかを一生懸命探っているように感じていた。そのため、
○ あらすじや要旨などを書く力、に加えて、
○ 読んだこと、考えたことを振り返る力
を、つけたいと考えた。

 以前『三色ボールペンで読む日本語』(斎藤孝著)を参考に取り組んだ実践を思い出し、文章を読むときの「技」をとして獲得させられるようにと、整理し直して実践した。三色はそれぞれ、「青線:大切だと思うところ」「緑線:(個人的に)面白いと思うところ」「赤線:最も大切だと思うところ」に引くように伝えた。
1回目、星新一の「博士とロボット」で線を引く。
2回目、教科書教材、椋鳩十「大造じいさんとガン」で。
3回目、4回目は友だちの(線を引き済みの)教科書を借りて、「大造じいさんとガン」で。
 星新一のショートショートの作品は、この本の中でも実践例として取り上げられている。実際、話が短くて、オチが分かりやすく、子供たちは楽しく読みながら線を引いていた。その後、どこに線を引いたかを交流。お互いにオチの部分に赤線を引いていることを確かめ合った。青線は、状況説明の部分に多かった。

 やり方が理解できたところで、物語文「大造じいさんとガン(光村)」に取り組んだ。三色ボールペンの本にも書かれているように、線を引くことは自分の意見表明になることから、理解にしんどさを感じる子にとっては、それだけでもハードルは高いようであった。そのため、3回目、4回目では友だちの教科書を借りて、鉛筆で線を引かせることで、友達がどんなところに線を引いたかを見せた。
 子供たちに学習感想を書かせると、「線を引いたところを見直すと、大切なところが良く分かった。」「感想を書く時に役立った。」「どういうところに線を引けばいいのか参考になった。」「友だちの線を見られて安心した。」「ちょっと難しかったけど、だんだんできるように(線が引けるように)なってきた。」というような感想を書いていた。
 これからも、線を引いて自分の読みを振り返る活動を続けていきたい。
(草津市立矢倉小)