話の意図を考えて聞こう 〜友達再発見!新たな一面を聞き出そう〜
谷 口 映 介

 「きいて、きいて、きいてみよう」(光村図書5年)での実践。
 子どもの主体的・対話的な学びを目指すために、次の視点を大切にして学習を構成した。

【「何を学んできたのか」「何ができるようになるのか」の自覚】
 導入では、前学年までに身に付いた力を振り返り、インタビュー(今、がんばっていること等)を3分間で行った。最初はペアで行ったが、3分間も持たないペアがほとんどであった。ここで生まれた「困り感」が以後の学習の原動力となる。実際のインタビューでは、5分間を目指すこと、友達の新たな一面(〇〇さんらしさ/へえ、そうだったのか/見えなかった裏側の思い)を聞き出すという目的意識が明確になった。

【子ども自身が観点を見い出す】
 友達の人柄を引き出すインタビューの仕方を探るために、教師自作の2つのモデルを用意した。 A:深める質問はなし。用意した質問だけをしている、「取り調べ」状態。会話が途切れる。目線を合わせない。確認や共感の言葉はなし。
B:Aを改善したインタビュー。
 前時で体験した困り感を投影できるAと、改善への道筋が分かるBを比較することで、自分でも試してみたいという意欲や学習の必然性、振り返りの観点が生まれた。

《聞き方上手レベルアップポイント》
 ○一つの質問からどんどん広げる。
 ○質問をあらかじめたくさん準備。
 ○相手が答えやすい質問をする。
 ○相手の答えを予想しておく。
 ○きっかけとか、がんばっている理由を聞くと思いを引き出せる。
 ○質問は、簡単なものから、細かい質問にしていった方がいい。
 ○答えに対して続ける。答えからキーワードを探して広げる。
 ○「最後に」など、順序が分かる言葉を使う。
 ☆紙(メモ)をできるだけ見ない。 ☆笑顔で聞く。 ☆目を合わす。 ☆あいづちを打つ。
 ◇自分の考えを言う。 ◇相手が困っていたら例を挙げる。 ◇相手にも感想を求めるとよい。  ◎敬語を使って話す。
 (〇質問 ☆態度 ◇感想 ◎言葉)

 以後、@グループ作り、Aイメージマップ、B下調べ、C付箋を活用したインタビューメモへと学習を進めていった。聞き取ったことは、「〇〇さんはこんな人!再発見シート」にまとめた。インタビューはタブレットに記録した。グループで映像を見直したり、中間評価を行ったりすることで次のインタビューに即座に活用できるようにした。学習を通して、「みんなにインタビューをして、いい学級を作りたい。」「コツを自分でつかめて力の付く学習になった。他の教科や生活の中でも使いたい。」という感想が多くあった。学びの自覚が深い学びへとつながると感じた。
(滋賀大学教育学部附属小)