生きる力を育む授業
杉 澤 周 一

 若手教員から受けた質問を,新学習指導要領に照らしてみた。
 実生活につなぐ学びは,新学習指導要領でも継続である。私たちは「生きる力」育てる使命がある。目指す資質・能力を,*生きて働く「知識・技能」の習得 *未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成 *学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養の三つの柱に整理し「生きる力」を育てるとしている。

 導入についてどう考えるかを若手教員に聞かれ,こう話した。
 導入は,一つには子どもの「関心・意欲・態度」を引き出す時間である。おもしろそうという興味,やってみたいという動機,やらねばという必要感など。それは,第二次でも消えないほど,確かなものであり,単元の終わりに個々がもつ学びの変容の自覚につなぐ意図のあるものである。導入は,単元を貫く関心・意欲・態度,それに伴う主体的な学びを引き出し,二次,まとめ,さらに生きる力につなぐものであると捉えたい。
 もう一つに,学習目標や学習展開,方法,ゴールのイメージを共有する時間である。これらは,関 心・意欲・態度の喚起と相互にひびきあって主体的に学ぶ姿勢を引き出すものである。「主体的・対話的で深い学び」の実現に,このような導入が必須であろう。

 次に物語を読むことで人物相関図をどう取り入れるかを聞かれた。
 メリットは何かをはっきりさせて,それを自覚して指導すべしでは。いつのまにか子どもも教師も それを書くことだけが目的になりがちで,きれいでわかりやすいねななどと評価をしてしまう。 
 人物相関図と「生きる力」を結びつけるのは大げさだろうか。否。あらすじも心情曲線も,それら は,生涯にわたって物語などを一人で自力で読む際に,書かなくとも頭の中に時に正しく時に豊かに 思い描きながら読み味わい,生きる力につながる何かを得るための助けになるツールでしかない。現 実的には書かないが,今は書いてて学習し,生きる力として,やがて書かなくとも思い描くことがで きるために。ならば,人物相関図は,頭に思い浮かべるかのように一目で捉えることができることを大切にすることになり1枚物のワークシートを使うことになるのでは。そして,基本的な読みのため本文の叙述から引き出して正しく読んで書く。そして行間,他の場面との関連,話の流れ等,自分で考えながら読み取る。それらを複数で事実を確認し合い自分の読み取りを伝え合い,正しく豊かに読み,今後もこのように人物相関図を書かなくても自力で読めるように,という学習になるのでは。
(東近江市立八日市西小)