「今を考える」
廣 瀬 久 忠

 本校の合言葉は「あいさつにはじまり夢をつくる学校」。全校集会で子どもたちに語りかけた。
「今年はどのクラスでも夢作文を書いてもらうように先生方にお願いしています。
 1年生は作文が書けるようになってからお願いしますね。
 夢を考えることは、今を考えることです。今をどう生きるかと言うことです。夢のために今をどうふんばるかです。今、夢のために我慢することも分かることです。
 夢や目標を持たずに生活することは、『さまよい歩く』ことに似ています。つまり、行き先の分からない迷い道に入っている状態です。しっかり行き先をめざして夢に向かっていきましょう」

 今年度は、学年に応じて担任たちがその取組を工夫していくが、各学期に一度、その夢作文を更新し、積み上げて、その作文を次の学年に送っていこうと考えている。
 かねてから、子どもの夢と今の暮らしぶり、学びぶりに乖離があって、つながりが薄い子どもが多いことが気がかりだった。サッカー選手になりたいとか看護師になりたいとかあこがれの職業をあげるが、そこへ向かうキャリアパスをイメージすることが出来ていないし、今、夢のためにこつこつ積み上げなければならない努力とも繋がっていないことが多かった。

 この夢作文の取組をはじめて、子どもの様子に変化があらわれてきている。昨年の12月、学校運営協議会の未来委員会が子どもに向けてアンケートをとり、次のように訊いた。
「自分の夢のために今努力していることは何ですか」(自由記述)
 すると、下学年は「アイドルになるため歌とダンスを頑張っている」「画家になるためたくさん絵を描いている」「体操選手になるために鉄棒を毎日している」など、夢に直結するスキルを意識した努力をしていると回答する子どもが殆どであったが、上学年になると様子が変わる。「職業について調べている」「友だちを助ける」「話すとき自分の考えをはっきり話す」「分からない勉強を分かるまでする」「人の話をしっかり聞く」「あいさつをしっかりする」「仲間を大切にする」「ダメなことはダメとはっきり伝える」等々、将来の仕事のスキルを意識することを超えて、人間としての姿勢づくりを確かにしていきたいと願う子どもが大勢いることがわかった。

 夢を描くことは叶いもしないことを夢想するのではなく、自分の夢に近づくために、今どんな自分であるべきかの姿勢を作ることにつながる。夢作文を積み上げることは今の自分を高める階段作りをすすめることに繋がっている。
(湖南市立菩提寺北小)