討論で考えの幅を広げる
岡 嶋 大 輔

 6年生の教室。一つの事柄について複数の視点から考えてほしい、「賛成」や「反対」といった立場の片方からだけでなく両方から考えてほしい、といった願いを持って、単元「学級討論会をしよう」の学習を進めた。また同様に、相手の立場を大切にして話したり、考えたことを相手に分かるように話したりする意識も大事にして学習を進めていった。
 討論会は、学級を4つのチームに分け、2つのチームが討論し、後の2つのチームが「どちらのチームが説得力があったか」を判定するという形である。また、チームの全員が話すよう協力することも大切にした。判定の後は、それぞれのよかった発言や話し方を発表する時間を取るようにした。

 その日は、保護者参観ということもあって、討論のテーマを「子どもの方が大人よりも得である。」で、肯定派と否定派に分かれて意見を交わした。このテーマにしたのは、大人のことを子ども達がどのように見ているのか、保護者も興味を持って参観できるだろうと考えたからである。そのテーマと各々の立場は2日前に伝えた。
 意見を交わす中で、「大人は○○だけど、子どもは○○なので、…。」と整理して話したり、「確かにそうかもしれませんが、○○の場合は○○ではありませんか。」と相手の話を認めつつ自分の考えを話したりといったように、うまく話している姿がたくさんあった。それを討論の後に子ども同士で出し合えているのが嬉しい。

 また、「大人は、いやな仕事もしなければいけない。」「上司に叱られてストレスを抱えることがある。」といった発言に対して、「子どものためだと思って頑張れる。」「家に帰れば子どもの笑顔に癒やされるから大丈夫。」という意見も出て場が和むなど、楽しく討論会を進められた。
 討論会の後、「車の運転」「選挙」「仕事」「勉強」「習い事」「ストレス」「人間関係」「お金の使い方」「責任」「休みの時間」等々、様々な視点が出てきたことを振り返って話し授業を終えた。

 学習を終えての子どもの感想。「私は、子どもの方が得だという立場でした。テーマが発表された時は、絶対大人の方が得だと思っていたけれど、何を話そうか考えている内に、子どもも大変だけど、大人はそれ以上に大変だということが分かってきました。でも、子どものためにがんばって、子どもが幸せそうにしていたら幸せな気持ちになれるから、大人も得なのかなと考えると、損も得もないと思います。」
 意見を交わし、はじめの自分の考えとは違った考えに誠実に向き合うことで、考えの幅を広げられることを実感した子が多かったように思う。
(野洲市立野洲小)