話し合い活動と「おたずねことば」
飯 沼 俊 雄

 話し合い活動の楽しさに気づくことが、主体的に話を聞く力に繋がることを再確認する出来事があ った。
 本校の校内研究のテーマは、「主体的・対話的で『深い学び』を実現できる子の育成〜有機的に働 くアクティブラーニングを通して〜」である。授業改善部を中核に、言語環境部・図書館教育部と連携を図り、有機的に繋がることで、「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指す。

 国語科における「深い学び」とは何か、話し合い活動に焦点をあて、2年目の研究が始まった。
 「もう少し、くわしく教えてください。」
 校内研究主任のクラス(3年生)の国語科の授業開きの出来事。子どもたちが決めたお題で話し合いが始まる。この日のお題は「お休みの日に楽しかったこと」。「グループ学び」という小集団での話し合い活動の中で、質問が飛び交う。周りの友だちの質問に必死で答える発表者。まだ、この段階では話し合いではなかった。1週間後。いつものように、発表者は友だちの「おたずねことば」に答えながら、話を進めている。しかし、その姿に変化が見らえるようになる。発表者は、「おたずね」をする友だちの反応を気にしながら話をしようとしている。発表者の表現力が変化する瞬間である。友だちの「おたずねことば」に答えることで、初めに話した時よりも自分の伝えたい内容が膨らんでいることに気づく子どもたち。「おたずねことば」により、自分の考えを再構成することができたといえよう。4月、5月にこのような学習を積んでいる子どもたち。話し合い活動の楽しさに気づき始めた。次は、「『よい聞き手になろう』目指せ、おたずね名人への道」の単元へと次への段階へ進む。

 学級の子どもたちの実態に応じた学習内容から話し合い活動を始め、段階的に子どもたちに主体的に話を聞ける素地を作り、話を聞く必要性を子どもたちに持たせた。6月の校内研究の授業が楽しみである。
 このように、「学びを深める話し合い活動」を基盤にしながら、「深い学び」の実現を目指すため に、話し合い活動の仕組み方や進め方、つなぎ方を追究する実践が各クラスで始まった。まず、各ク ラスで出てきた「おたずねことば」を集約して、批判的思考力の向上のために、具体的な語彙を学校全体に広げていく。学年別到達度目標を設定しながら、取り組みを行う。主体的・対話的で深い学びを実現できる子の育成を目指して学校全体での研究は続く。
(湖南市立菩提寺北小)