学習と学級を相乗的に高める指導の段階を考える〜五段階の高まり〜
谷 口 映 介

 今年度は、五年生を担任している。高学年になり、委員会活動など、学校のために自ら働こうとする意欲に溢れている子ども達。この一年での成長が楽しみである。一般的に、高学年の育ちとして、以下の点が挙げられる。

【学習面】
〇物事をある程度対象化して認識することができるようになる。
〇対象との間に距離をおいた分析ができるようになり、知的な活動においてもより分化した追求が可能となる。
【生活面(心の育ち)】
〇自分のことも客観的に捉えられるようになる反面、自己に対する肯定的な意識を持てず、劣等感を持ちやすくなる。
〇集団の規則を理解し、主体的に関与したり、自分たちで決まりを作り、ルールを守ったりできるようになる。一方で、閉鎖的な子どもの仲間集団が発生し、付和雷同的な行動が見られる。(文部科学省HPより抜粋)

 これらのことから、学校の教育目標とも照らし合わせながら、学年目標を『FIVE STEPS 〜理想の自分へ近づこう』とした。下記の図は、学級と学習の高まりを五年生の「5(FIVE)」にちなんで、五段階に表したものである。成長の階段の頂点を「理想の自分」とし、そこへ到達するためのステップを学習と学級(心の育ち)に分けている。左に書かれているものが学習、右に書かれているものが学級である。

 学年開きでは、五年生の児童を前にして、担任団が思いを語り、共通理解を図った。無論、教師の思いだけで学年が動くのではない。大切なのは、子どもたち自身が「理想の自分(なりたい自分)」を思い描くことである。その上で、そこに到達するために毎月の自分や学級のめあてを決め、振り返ることで客観的に自分や周りを見つめる心が養われるものと考える。子どもたちには、自分一人だけ理想の自分に到達するのではなく、学級・学年の仲間みんなで上るのだと伝えた。協働の意識や学びの自覚はここから生まれる。核となるのは、やはりどの段階においても言葉であろう。みんなで高め合う環境を継続して作りたい。
(滋賀大学教育学部附属小)