言語活動の充実を
三 上 昌 男

 次期学習指導要領等の改善及び必要な方策等についての答申が取りまとめられ、新しい学習指導要領の全体が発表された。
 その中に、「現行の学習指導要領においては、全ての教科等において言語活動を重視し充実を図ってきたところであるが、今後、アクティブ・ラーニングの視点から授業改善に取り組んでいくためには、より一層、言語活動の充実を図り、全ての学習の基盤である言語能力を向上させることが必要不可欠である。」と述べられている。また、国語科が、その中心的役割を担い、国語科が育成する資質・能力が教科等の学習に資することにも言及されている。学びの質を高めていくため、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、日々の授業を改善していくための視点を共有し、授業改善に向けた取組を活性化していくことが重要である、とも言われている。いよいよ学習指導要領改訂に伴い、新たな取組が本格化する。

 4月、新たに赴任した本校の校内研究では、「自ら考え表現し、伝え合う子どもの育成 〜「話したい・伝えたい」気持ちを高める国語科の授業づくり〜」をテーマに、研究実践に取り組むことが確認された。昨年度のふり返りから、今年度は、系統的に学びを深めるために、教科を国語科に絞り、領域についても「話すこと・聞くこと」の領域の授業研究を深めたいという考えが示された。
 こうした校内研究の方向や内容は、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善と重なり、「主体的・対話的で深い学び」の推進とつながるものである。本校の先生たちが、校内研究の実践を通して、新しい学習指導要領について学び合う機会としたい。
 国語科で扱う言語活動は、他の教科等の学習や日常生活で生きて働くものとならなければならない。活用の場を広げ、定着を図ることで言語活動の充実が実現するのである。

 本校の校内研究に関連して、新学習指導要領の「話すこと・聞くこと」の言語活動例の中で、話し合う活動について見ておきたい。
【一・二年】 イ 尋ねたり応答したりするなどして、少人数で話し合う活動。
【三・四年】 ウ 互いの考えを伝えるなどして、グループや学級全体で話し合う活動。
【五・六年】 ウ それぞれの立場から考えを伝えるなどして話し合う活動。
 現行の学習指導要領と大きく異なることはないが、子ども同士の話し合い活動によって、個々の考えを広げたり深めたりする「対話的な学び」が実現できるかどうかがポイントとなる。

 現在使用している教科書では、様々な話題や形式の話し合いを通して、計画的に話し合う力を付けることが求められている。一年…対話、二年…グループでの話し合い、三年…司会を立てたグループでの話し合い、四年…司会・提案者を立てたクラスでの話し合い、五年…立場を決めて討論、六年…クラスでの問題解決の話し合い、というように、学年の発達段階に応じた形式がとられている。
 話し合いの学習を成立させるためには、話し合いの目的からそれずに協力して進めるように、話し合いの仕方や役割を学ぶことはどの学年においても必要である。
 一方、個々の学びに視点を置くと、話し合いに参加する意欲が高まっているか、話題について自分なりの考えを持っているか等の要素も大事になってくる。
 どの子も主体的に話し合いに参加し、豊かな相互交流を図るようにすることで、個々の考えが広がったり深まったりできる国語科の授業づくりを目指したい。
(近江八幡市立金田小)