筆者のものの見方をとらえ、自分の考えをまとめよう
北 川 雅 士

 光村図書6年創造の教材、「『鳥獣戯画』を読む」は、アニメーション監督の高畑勲氏が鳥獣人物戯画について述べた評論文である。教材の文章の多くが語り口調で、筆者から読み手の子ども達に話しかけるように書かれており、子どもにも、親しみやすい文章になっている。また、読み手が引きつけられるような表現の工夫も随所に見られる。評論文を初めて読む6年生にも適した文章になっていると考えられる。

 「『鳥獣戯画』を読む」言語活動では、高畑勲氏が解説している2つの場面から、自分の解説したい場面を選び、自分のものの見方をリーフレット形式の解説書にまとめて交流する。導入で、児童達の多くが「自分たちも解説してみたい」という思いをもっていたため、この言語活動を設定して学習計画をたてた。高畑勲氏のものの見方や、評論の仕方、読み手を引きつける表現の工夫を教材から学び、言語活動で表現できるように学習をすすめる。
 教材文で筆者の高畑氏のものの見方や、評論について学んだあと、教科書に掲載された2つの場面のどちらかを選び、自分が選んだ場面の評論を行った。

<言語活動の流れ>
(1) 好きな場面(評論したいと思える場面)を選び、自分のものの見方(読み取ったこと)について書く。文章ではなく、箇条書きで見つけたこと、考えたことを書き出した。
(2) 交流して考えを深める。授業前半は同じ場面を選んだ友だちと交流し、新たな気づきや、取り入れたい見方は付箋にメモし、リーフレットに貼った。後半は違う場面を選んだ友だちとグループで交流し、他の場面と見比べながら見方や考えを交流した。
(3) 自分の見方や、交流して新しく気づいたことを整理し、解説文を書いた。文章を書く際には、教科書の「たいせつ」「絵画や写真を見るときには」を全体で確認し、取り上げた場面のどこに目を向けているのかが明確になるようにした。また、文章の書き出しや、表現など読み手を引きつける工夫も確認した。
(4) 解説文のリーフレットを読み合い交流した。

 言語活動では特に、「話し合いや交流に必然性をどうもたせるか」という事をポイントにした。なんとなく話し合うのではなく、一人一人が自身の課題解決に向けて、「友だちに意見を聞きたい」「アドバイスをもらいたい」と感じられたか、また個人での課題解決が難しい児童が課題解決に向けてグループ交流を有効に活用できるようにしたいと考えた。

 この後の教材「この絵、私はこう見る」においても、グループ交流を大切にしながら、学習に取り組んだ。様々な教科で、ペア学習・グループ学習を取り入れようとするものの、「本当に必要な交流の時間になっているのか」というのは今年度の自分の課題の一つでもある。主体的な学びにつながる交流が生まれるように、今後も「必然性のあるグループ学習」を考えていきたい。
(彦根市立城南小)