人物の生き方から学ぼう 〜「一目で分かる!人物生き方シート」で伝記を紹介しよう〜
谷 口 映 介

「百年後のふるさとを守る」(光村図書5年)を学習材に実践した。この単元で大切にしたい子どもの姿は次の2点である。
〇伝記を読む視点を手がかりに、人物の生き方を紹介するために必要な叙述を選択し、根拠を明確にしながら仲間と交流する中で、自分の考えを広げたり深めたりする姿。
〇伝記に描かれた人物の考えや価値観をとらえ、今の自分の生活と置き換えて共感するところや取り入れたいところなどを考える姿。
 指導の重点として、自分が人物について紹介したい事柄を順位付けて付箋にまとめ、「一目で分かる!人物生き方シート」に整理して表現出来るようにした。また、順位付けた理由を交流することで、自分の考えとの共通点や相違点を捉えられるようにした。

【「人物生き方シート」】
 人物を紹介するために必要なことは何であろうか。初めに、子どもたちと読みの視点を作った。様々な発言から集約されたのが、「人物の行動(業績)」「印象的な言葉」「人物の考え方」の3つである。さらに、前単元で本の魅力を一言で紹介するキャッチコピーを考えた学習を活かして、その人物を一言で表す一言も入れたら良いという意見も出された。(これは、「ズバッと一言」と命名した。)子ども達は、自ら見い出した観点に沿って読み進めていった。これは、読みの勢いを作る上で大切にしたいところである。シートにまとめる際には、付箋を活用した。
 赤:人物を紹介する上で最も大切だと考えた叙述。
 黄:人物を一言で表すキーワード。
 青:赤・黄を説明するのに必要な叙述。
 交流では、付箋に選び出した叙述や意図を伝える中で、共通点や相違点を見い出しながら、関係付け方の違いに気付けるようにした。

 子ども達は、第一次の段階で数種類提示したまとめ方のモデルを見たり、指導者の話し合いのモデルビデオを視聴したりすることを通して、学習の方法と見通しを持つことができでいたので、自らの読みを対話形式(3人組)で交流することができた。交流後の振り返りでは、「赤付箋では同じ文を選んでいても、理由が違っていたり、人物について考えていたことが違ったりしたのでなるほどと思いました。」「〇〇さんの情熱・あきらめない心というキーワードを聞いて、そんな人物の見方もあるなと思い、私もズバッと一言に取り入れました。」という感想が多く出され、交流によって人物に対する視点や考えの広がりや深まりが見られた。最後に人物の生き方から学んだことを200字程度で書いた。何度も本文を見返しながら書く姿が印象的であった。
(滋賀大学教育学部附属小)