話し合い活動と学級集団づくり
飯 沼 俊 雄

 国語教育には、学級集団づくりが不可欠であると再確認する出来事があった。
 本校の校内研究のテーマは、「主体的・協働的・創造的に学び続ける力を持つ子の育成〜有機的に働くアクティブラーニングを通して〜」である。全職員が、同じ目標に向かって、日々、実践に取り組んでいる。
 国語科における深い学びとは何か、話し合い活動に焦点をあて、研究を続けて7か月、初任者の研究授業での出来事である。

「学習計画表を見てください。今日は第4場面の心に残ったところを交流します。」
 初任者のクラスでは、日直になった子どもが一日、黒板の前に机を置いて、みんなの方を向き、司会を務めている。さらに、「グループ学び」という小集団での話し合い活動においても、「司会」「タイムキーパー」「書記」「発表」という役割を一人ひとりが担い、司会者を中心に交流をしている。
 教師の指示がなくても、子どもたちだけで授業を進めている姿がそこにはあった。また、「グループ学び」の話し合い活動においては、形式に当てはめた「発表会」ではない。自分の意見を出した後から話し合いが始まることを誰もが意識していた。さらに、ホワイトボードを活用しながら、グループの意見を可視化させ、友だちの意見に疑問を投げかけたり、意見を付け加えたり、整理したりする姿があった。「全体」での学習では、教師がグループで出てきた意見をさらに深めるために、全体に問いかける。「全体の学び」においても、意見が飛び交う。

 これらの姿は、4、5月にはなかった。「全体学び」はもちろん、「グループ学び」においても、子どもはとても静かで、意見があまりでなかったように思う。これまでの初任者のクラスを振り返ってみると、学習のルールを構築していく上で、教師と子どものやり取りがあったことに気づく。そこでは、学習のルールを一つ作るのにしても、教師のルールを一方的に押し付けるのではなく、子どもたちの意見も聞きながら、合意形成する時間を大切にしていた。「対話」を繰り返していたのである。そのために、一定のルールが自発的に守られているのではないだろうか。そして、子どもの発表の声が大きくて、意見が多く出ているのではないだろうか。
 それだけには、とどまらない。初任者は、子どもの言動を褒め、それを学級全体に広め、丁寧に価値づけを行っていった。その結果、子どもが互いにモデル学習をする環境が出来上がっていたといえよう。

話し合い活動を通して、子どもたちが深い学びを獲得するために、学級集団作りを段階的に行うことの大切さを初任者の研究授業から再確認することができた。だ。
(湖南市立菩提寺北小)