続「ウナギのなぞを追う」 塚本勝巳教授の講演会「うなぎキャラバン」

〜イメージマップで連想を広げる〜
蜂 屋 正 雄

 今回は、光村図書の4年生の説明文、「ウナギのなぞを追って」の著者、日本大学の塚本勝美教授に本校に来ていただき、うなぎの卵を見つけたときのことを教えていただく機会を得た。5年生では、総合的な学習の時間で「イネの成長と田んぼの生き物」「イネと日本人」「これからの琵琶湖」と題して環境学習を行っている。国語科では、「明日をつくるわたしたち」という単元で提案文を書くこと、「グラフや表を用いて書こう」でグラフや表を用いて意見文を書く、という学習を行った。これらの学習でつけた力を生かして、課題意識を持ち、調べ、まとめて、提言していくという過程を経てのポスター発表を目指している。この学習過程は、自然科学のアプローチに似ている。子どもたちには、実際の研究の仕方、研究の視点を体感しながら、ウナギという生き物の不思議さや面白さを感じてほしかった。

 子どもたちは、4年生の時には学習していない教材であったため、印刷教材を用意し、一読させた。その後、初発の感想を書かせて交流させる中で内容理解を促した。そして、教材をもとにイメージマップを作った。イメージマップは、国語科だけでなく、理科や社会科でもよく使い、自分の考えの広がりを学習した語句やこれまで経験して知っている事柄とつなげてとにかくたくさん書く、自分の知識をまとめる、ということに主眼を置いて取り組んでいる。子どもたちはそれぞれであるが、「うなぎ」「塚本さん」「おいしい」「ぬるぬるしている」「マリアナ海溝」「海で卵を産む」「新月に卵を産む」「サケと反対」など、交流の中で出てきた言葉や教師の言葉を元に、「触ったことがある」「かば焼き」など自分の体験を加えて書きならべていた。

 うなぎキャラバンでは、塚本教授自身が来てくださり、プロジェクトXなど、NHKの番組で教科書までの研究の流れを紹介してくださった後、うなぎクイズ、質問タイムなど子どもが発言したり、動いたりする時間も作ってくださった。また、実際のレプトセファルスの標本、最新の探知機の実物、探査船での生活や調査の様子を見せながら研究の様子を紹介してくださった。そして、まだまだ分かっていないことがあり、ひとつわかるたびに次の疑問が出てくるという研究の楽しさを伝えてくださった。また、うなぎの研究は、生き物の不思議さを調べる中で「魚はなぜ回遊するのか」という普遍的な研究テーマの追究であることも(子どもたちはあまり気づいていなかったが、頭の中には残っていた様子。)お話しいただいた。

 子どもたちは事後の学習で、「80年目の思い」「毎年、1回のチャンス」「うなぎには毒があり生では食べられない」「16種しかいない」「1種は最近新種として見つけた」「うなぎにも鱗がある」「レプトセファルス(小さい頭)」「プレレプトセファルス(前小さい頭」「どうやってオスとメスが出会うのか」「数百万個の卵」「2日でふ化」「琵琶湖のうなぎはどうやって子孫を増やしているのか」など、教えていただいたことからイメージを膨らませていた。得難い学習機会をいただいたことに感謝。これらの研究の過程をポスター発表にも生かしていければと思う。
(草津市立矢倉小)