どのように読みますか」工夫して音読するには
海 東 貴 利

 「役に分かれて音読を楽しむ」ことを単元のねらいにして、「くじらぐも(光村1下)」を読む学習を行った。  単元の前半は、場面の様子や人物の行動について確認しながら丁寧に読み、お話の大体をつかんできた。第4時では、会話文をもとに、場面の様子や登場人物の行動が分かるように音読の仕方を工夫する学習を行った。これまでの読み物教材でも、会話文をどのように読むのかについては学習活動の一つとして取り組んできたが、「大きく読む」や「ゆっくり読む」といった、声の大きさや速さをその場面に合わせて工夫するものにとどまっていた。今回の学習では、「くじらぐも」と「一ねん二くみの子どもたち」のやり取りを動作化して読むことなどから場面の様子をさらにイメージしやすくし、物語の楽しさを味わわせたいと考えた。

「おうい」と「おうい」はどのように読みますか。
C1 大きく読みます。
C2 わたしもC1さんと同じで、大きく読みます。
 聞いていた他の子もその通りというような反応だったので、C1さんとC2さんにそれぞれ音読をさせた。すると、初めに読んだC1さんは、「お〜い」と呼びかけるように音読した。聞いていた子どもたちからは、「くじらぐもに呼びかけているみたい」だとC1さんの工夫したところを見つけた。その後のC2さんは、C1さんの音読を参考にし、さらに両手を口元に近づけ「お〜い」と叫ぶように音読した。「それもいい。」と聞いていた子どもたちは音読に動作化を加えたことを賞賛した。そこで、みんなでやってみることにしたとき、
C3 どっちも同じ言い方でいいのかな。
と、呟く子がいたので、登場人物の位置関係を確認することにした。これをきっかけに、はじめの一ねん二くみの子どもたちの「おうい」は、空を見上げて手を口の近くに当て叫ぶように音読するといいことをみんなで確かめた。あとのくじらぐもの「おうい」は、空から呼びかけるように音読するといいことを確かめた。
 「くじらぐも役は、台の上に立ったほうが分かりやすい」「教科書は持たないで読もう」など、くじらぐも役と一ねん二くみの子どもたち役に分かれて音読を繰り返すうちに工夫できることが次々と子どもたちの中から出てきた。

「天までとどけ、一,二,三」はどのように読みますか。
C4 (3回同じ会話文が出てくるけれど)全部同じではなくて、1回目は小さい声で、最後の3回目は大きい声にしたらいい」「どうしてかというと、くじらぐもに応援してもらって力が湧いてきたからです。
C5 ぼくも同じです。どうしてかというと、跳んだら30センチから50センチに増えたからです。
C6 音読するときに跳ぶ動作もしたいです。
C7 みんなで手をつないで輪になって音読したほうが、力を合わせている感じが出ると思います。

 このように音読を繰り返す中で動作化する工夫を見つけることができた。この学習活動を通して、物語の様子をさらに深く読むことができるようになった。
(高島市立マキノ南小)