キャッチコピーと推薦文で心に響いた本の魅力を伝えよう
谷 口 映 介

 文章を読んで感動した、心に響いた、心に強く残ったことは子ども達にもたくさんあることだろう。「千年の釘にいどむ」は鍛冶職人・白鷹幸伯氏の、古代の釘作りに挑む姿を通して、職人としての心意気を描いた文章であり、きっと多くの考えや思いを持つだろうと考えた。そこで、教材文を含め、「プロジェクトX」等の職人の生き方を描いた本を推薦することを通して、新たな本の世界を開拓することをねらって学習を計画した。

【本単元でめざす子どもの姿】
〇複数の本や文章を読みためた中から、薦めたい本を選ぶ姿。
〇本や文章を読んで心に強く残ったことを発表し合い、キャッチコピーや推薦文の交流を通して自分の考えを広げたり深めたりしていく姿。

 この二点を達成するため、以下を指導の重点として単元を構成した。
◎単元を通してキャッチコピーや推薦の文章によって心が動いた・心に響いたことをポスターやポップによって伝えることを位置付ける。
 学習では、書店や図書館で取材をした本のキャッチコピーをもとに、読み手(買い手)の心を引きつける工夫を子ども達が見つけ出した。@考えたこともなかったことや言葉、「えっ!」と思わせる言葉、思わずつっこみたくなる表現。A「!」で引きつける、よびかける。B「?」で問いかけ。C自分がやってみたいことと合う。D気になることの答えが本の中に書いてあるかのように書いている。E大切な言葉・伝えたい言葉(キーワード)が入っている。F数字が入っている。G有名人の写真・色づかい・文字の大きさの工夫。
 子ども達は、自分が見つけた工夫を使い、20字から30字で教材文や自分が選んだ本を読んで心に響いたことをキャッチコピーで伝えようと仲間にアドバイスを求めながら推敲する姿が見られた。

 続いて取り組んだのが、推薦の文章を書くことである。図書室にコーナーを作りたいという子ども達の思いがあったので、相手は一度も読んだことがない学校の仲間となる。文章を書くに当たっては、「ぜひ、読んでください。」をNGワードとし、使わずに本を手にとってもらえる(買ってもらえる)表現を工夫しようと呼びかけた。ここでは、語彙カードや書店の推薦文を提示し、参考にできる支援を行った。相手や目的がはっきりしているので、子ども達は主体的に取り組むことができた。学習後の感想では、「職人の言葉や生き方に心を動かされた。もっと多くの本を読んでみたい。」という本の世界の広がりがみられた。
(滋賀大学教育学部附属小)