1学期末の初任者へ
高 野 靖 人

 退職して2回目の夏を迎えた。本誌400号の巻頭でも記したように、退職前7年間、初任者研修の拠点校指導員を行っていた。そのため、1学期末のこの時期になると、自分の1学期末の姿より、初任者研修を通した初任者の姿の方を思い起こしてしまう。
 そこで、3学期制の学校に限定されるが、1学期末の初任者に特に留意してほしい点を私の経験を通し述べてみたい。

(1) 通知票で、子ども・保護者の信頼を得る
 日々の授業に苦労する初任者だが、学期末にはまとまった評価をする必要がある。通知票の項目に合わせた具体的な評価基準も明文化されている学校が多いと思うが、学年の中で十分共通理解しておく必要がある。
 通知票作成のために、計画を立てて進めなければならないが、特に初任者は余裕が必要である。所見の下書きを校内指導員にチェックしてもらわなければならない。タイミングが合えば、拠点校指導員もチェックをする。
所見は、手書きでなくなって、書く分量が増えた。平均して、学習面2項目、生活面2項目程度書く余裕がある。
 基本的に長所・プラス面を書くのだが、課題も書き方を考えれば書くことも可能。こうした書き方に関しては、文例集なども示しながら、研修でしっかりを押さえた。 大きな課題を保護者に伝えたい時は、家庭訪問や懇談会(個別対応)などで直接口頭で伝えるのが原則である。
 長所・プラス面でも、保護者が十分承知している内容をくだくだしく書いても信頼を得られない。学校における子どもの姿が、保護者にとっていい意味の発見となるような記述が望ましい。そのためには、日頃から細かな児童観察とメモ等の記録が必要である。

(2) 夏休みの研修を、自分の糧にする
 初任者の夏休みは、忙しい。県や市の研修がタップリある上に、学校での研修も時期を集中して計画されている。
余裕はないのだが、総合教育センターや市の選択研修など、自主研修を入れるのも良い。
どうせやるのなら、受け身ではなく、主体的に学ぶ姿勢で臨む。 2学期の最初の研修で、夏休みに受けたすべての研修からベスト3を選び、なぜ印象に残ったのか振り返る時間を毎年実施した。
演習的な研修(体育、図工、国語等)が多かったが、これも自分の身につけ、2学期以降の実践にに活かしていこうとする表れだ。今後も夏休みは多く経験するが、初任者の夏休みは、ただ1度だけなのだ。