▼授業が始まる。当番の子の元気がよい声で挨拶をする。始まりは前時の復習、「昨日、どんな学習をしましたか」である。この問いかけが心に響く子とあまり響かない子とに二分される。ひとつは、挙手をして積極的に発言しようとする子。ひとつは、最初から関心がなく、ただ、聞き役になる子。授業としては今日の授業に勢いをつけたいところだが、気持ちは子供には届いていない。

▼「今日は、おもしろい勉強をするんだよ」というひと言で急に教室に元気が生まれる教室がある。「今日の学習のめあてを書きます」という指示で、集中する雰囲気が生まれる教室がある。短い時間であるが導入段階は授業づくりの工夫が求められる。

▼工夫の仕方で意欲的になった授業がある。ひとつは、黒板に授業の進め方が分かるように示したものである。授業の到達段階の姿が理解できる導入である。学習過程が理解できるので安定するのである。二つ目は、予習課題がはっきりしている授業である。学習内容がわかるからである。三つ目は、自分のがんばる姿が描けている子である。聞きたいこと、伝えたいことを持っている時である。

▼授業前に勢いがある子は「今日は、ぼくから発表することになっている」「音読になったら絶対自信がある」と言葉が弾む。これは「きのうの勉強を思い出しましょう」という発問とは距離がある。

▼前時の復習はノートを読み返せばできる。今日はがんばると思っている子には発表から始まる方が勢いを持続できる。ポイントは導入の工夫である。(吉永幸司)