人物の「すごさ」を読む
岡 嶋 大 輔

 道徳で手塚治虫さんの話を扱った後、「手塚治虫さんのことをもっと知りたい。」「どんな作品を描いたの。」といったように、様々な人物の生き様に興味を持ち始める子も多い五年生。担任として、この五年生という時期に、憧れの持てるような人物に一人でも出会わせたいという思いがある。

 教科書(光村五年)に掲載されている鍛冶職人、白鷹幸伯さんも子どもに知って欲しい人物の一人である。職人としての意地、仕事に打ち込む姿勢に、胸を打たれるところが多い。
 子どもには、この文章を読んで「すごい」と思ったことは何か、と問うた。子どもからは、古代の釘が「さびにくい」「抜けない」「節をよける」といったすごさが出された。そして、「古代の釘」がすごいだけでなく、それを作った「古代の職人」、さらには、そのすごさを見つけてそれに負けない釘を作ろうとする「白鷹さん」がすごいということにまで思いをいたらせることができた。

 次に、それらのすごさを、まだ白鷹さんのことを知らない人に興味を持ってもらうように紹介するにはどう書けばいいのか考えるようにした。
 そこでは、箇条書きにする、端的な言葉で表す、「○○とは…」という書き方をする、質問形式にする、等といった方法が出された。そして、「すごさ」を紹介する文を書き、交流するようにした。
  「白鷹さんが発見!古代の釘のすごさ」
  (すごさ1)千年経ってもさびてくさらない。
  (すごさ2)打ちこんだヒノキから絶対にぬけない。
といったように、文章中の言葉を引用し、端的に表しているものによさを感じている子が多かった。

 その後、少し前から読んでいた「伝記」や「人物の生き様を描いた本」の中から、気に入った人物を決め、その人物について「すごさ」をまとめていった。次に挙げるのは、子どもが書いたものの一例である。
  「世界で愛されたマンガ家 手塚治虫」
  (すごさ1)同時に違う漫画を描いていた。
  (すごさ2)ストーリーマンガを初めて描いた。
 「すごさ」の代わりに、「魅力」「名言」といったように、紹介する人物や紹介したいことに合わせてその言葉を変えた子もいた。

 読み取った内容を端的な言葉で表すことで、今までよりも積極的に読んでいた姿が多かったように思う。また、友達が書いたものを読んで、その人物に興味を持ったり、知っている人物でも違う側面を知ったりと、多くの人物について深く知るきっかけにもなったように思う。
(野洲市立野洲小)