自分たちの町を案内するパンフレットをつくろう(2)
北 川 雅 士

 ちょうど1年前の7月、神戸市勤労会館で開催された第43回国語研究集団合同研究会に提案者として参加するという貴重な機会をいただいた。その場で実践を紹介したのが、「まちのよさを伝えるパンフレットを作ろう」(光村図書6年)である。その研究会で課題となったのは、「内容は多様でも、実際の場に行かず、インターネットの情報をまとめたものが多い」「もっと身近なもの、具体的にかけるといい」という意見だった。今年度、再び指導するにあたり同じ地域のパンフレット作りであってもより身近で具体的な内容のパンフレットになるよう、昨年度の実践をふりかえりながら、学習活動を行った。

 学習の導入で、児童にパンフレットの目的を「滋賀県外から自分たちの学区を訪れる人に、自分たちの学区のおすすめスポットを伝える」という点と、「インターネットを活用しても良いが、どの記事も現地へ行き取材を行うか、毎日の生活の中での利用経験をふりかえりながら記事を書こう」という点を伝えた。学習は以下のように進めた。

【学習の流れ】
(1) 自分の町(小学校の学区内)で案内したい場所を考え、全体で交流して話し合う。
(2) 実際のパンフレットでパンフレットの特徴を話し合う。伝える相手、伝える内容について確認する。 (3) グループごとに学習計画をたてる。
 構想、取材、構成、割り付け、下書き、推敲、清書をどのように進めていくのかを話し合い、グループごとに学習計画をたてる。(途中で変更してもよい)
(4)〜(9) 学習計画に沿ってグループごとに学習を進める。
(10) 完成したパンフレットを読み合い交流する。
 ※取材は週末の家庭学習で行った。店舗の取材は事前にインタビューや写真撮影の許可の取り方を児童に指導するとともに、事前にお願いの連絡をさせていただいた。

 昨年度とは違い、本年度の学習では小学校区の範囲にしぼってパンフレット作りを行った。はじめは「紹介するものなんてあるの?」という言葉が多く聞かれ、案内したい場所もなかなかふくらんでこなかった児童達も、普段の生活をふりかえりながら様々な場所をパンフレットに載せたいという思いが出てきた。また、学区内ということで、昨年度の「インターネットで調べる」という取材よりも、実際に足を運んだり、地域の方や両親へのインタビュー、自身が遊んだ経験から紹介の理由を考えるというような姿も見られ、パンフレットの内容にも具体的な紹介が見られた。何より地域へ取材に行ったり、店舗へ行きインタビューするなどの活動があったことで、児童が主体的に「ここに行きたい」「これを載せたい」という思いを高める事ができたように思う。

 今、児童は清書に取りかかっている。推敲による書き直しや他グループのアドバイスが書かれた下書きの用紙を見ながら清書する様子を見ていると完成が楽しみである。
(彦根市立城南小)