授業の湖南市スタイルから菩提寺北スタイルへ
廣 瀬 久 忠

 私が勤務する菩提寺北小学校は湖南市にある。「楽しくて力のつく湖南市教育」の合言葉は「子どもの夢と志を育て、『生きる力の根っこ』を太くする」である。湖南市教育委員会には学力向上委員会が組織されていたり、学力向上ワーキンググループが組織されていたりして授業改善への取り組みが大変充実している。
 湖南市には9つの小学校と4つの中学校があり、この13校が授業スタイルを「授業の湖南市スタイル」として共通させていくことで「一つ身に学ぶ」子どもが見通しを持って主体的に学べるよう市内全教員が共通実践しようと努力している。どの教科もどの学年も小学校も中学校も典型となるスタイルで1時間の授業が進行していけば支援の必要な子どもにとっても安心して学習できるよさがある。前に立つ教師によってさまざまなスタイルで授業が展開される状況を受け手側の子どもの立場に立ったとき、何が起きるか分からないとかどんな方向に進むか分からないのは不安である。1時間の学習がいったい何を学習したのかがはっきりしないまま終わっていては子どもの学習は主体的に積み上がっていかない。

 授業の湖南市スタイルとは、
第1段階 本時の「めあて」を自覚する
第2段階 課題に対する自分の考えを書く
第3段階 それぞれの考えを交流する
第4段階 めあてに応じた「まとめ」をする
第5段階 学習を「ふりかえる」 である。

 さまざまな教科領域等の特性はあるものの、まずはこのスタイルを起点ににして授業を発想していくことになる。
 あくまでも共通スタイルであるから各学校によって子どもの実情や校内研究の方向性により、それぞれの学校が独自性を発揮することとなる。湖南市スタイルは本校では「菩北スタイル」になる。

 多くの教室で授業が始まるとめあての確認がある。ノートに学習のめあてが書かれる。繰り返し繰り返し授業の冒頭で書いているのでさっと書ける。全員声に出して自覚化に向かわせる。ここで、本時の学習の流れと時間配分の明示が入ることが多い。
 めあてに向かって自分の考えを持つのが第2段階。文字や絵、図を駆使して、自分の考えを生み出していく。本校は、この段階を深めるために家庭学習とつなごうとしている。前もってめあてを示し、予習学習で自分の考えをつくるのである。家庭学習の習慣を定着させる努力を続け、予習の有効性を子どもも教師も実感できるように取り組んでいる。予習を受け、この考える時間は考えを深めたり、交流のために相手に伝えやすい方法を考えたりすることとなる。
 考えができるとその考えをさらに深い考えにするためにグループワークで交流するのが、第3段階である。ペアであったり、3人グループ・4人グループと場合により人数が工夫される。グループ内では司会、記録、発表、タイムキーパー等の役割が決められ、交流に必要な思考語彙(分類・比較・つなぐ等)が示されて何をどう話しあい、その結果の何をどう生かすのかが指導され、工夫される。
 この交流を受けて「まとめ」をする。ここが教師の大切な出番である。子どもの考えをうまく生かして今日の学習の成果を子どものものとするよう指導力が発揮されるときである。
 最後、学習の振り返りは、当然めあてにあわせた振り返りを書くことになる。ふり返りの質がその学習の手応えを価値づけていく。
(湖南市立菩提寺北小)