おはなしの森をつくろう
弓 削 裕 之

 本が大好きな1年生。読書を通した喜びが広がるようにと、「1ねん1くみ おはなしの森」ができることを目標にした授業を、子どもたちと一緒にスタートさせた。

【単元の流れ】
@理由を考えて絵本を選ぶ。選んだ理由をペアの友だちに話す。
A「ずうっと、ずっと、大すきだよ」を読み、登場人物をノートに書く。自分が選んだ本の登場人物をノートに書く。
B「ずうっと、ずっと、大すきだよ」の好きなところやおもしろかったところに線を引き、全体で交流する。ノートに書き、ペアの友だちに話す。
C自分が選んだ本のすきなところやおもしろかったところをノートに下書きし、「おはなしの木」に清書する。
Dペアの友だちの「おはなしの木」を読んだ感想を「りんごカード」に書き、友だちの木にはる。
E自分の「おはなしの木」を模造紙にはり、「1ねん1くみ おはなしの森」をつくる。

 事前に、どんなことをきっかけにして本を選ぶことができるかを共通理解した上で図書館に行くことにした。教材研究の時は、「題名・絵・作者」がきっかけになると考えていたが、実際は、「大好きなコスモスがいっぱいのっていたから」「同じシリーズを読んでおもしろかったから」「先生に読んでもらったから」「おうちの人がおすすめをしてくれたから」「うわさでおもしろいと聞いていたから」など、理由は様々だった。

 教材文は、いつも絵本の読み語りをする時のように、子どもたちのつぶやきをひろいながら読み進めた。エルフのことを家族がしかる場面では、「好きだからしかるとおかあさんはいつも言っている」と、自分の経験と重ねたつぶやきも見られた。新しい子犬を「ぼく」がもらわなかった場面では、「死んだらかわいそうだから」「他の犬をかったらぼくが他の犬の方が好きだと思ってエルフが悲しい思いをするから」といったつぶやきがあったが、他の場面に比べて広がりが見られなかった。ペットを亡くした経験のある子どもに問うたところ、「言葉に出せません」「どう言ったらいいかわからない」「前の犬といたことが、全部、新しい犬のことになるから」などの発言があったことが印象に残った。

 「おはなしの木」に書く活動では、相手意識を持たせる指導が不十分だった。「読んでもらうためにはどんな字で書けばよいのか」を考える時間をとっていれば、子どもたちの書きぶりも変わっていたと思う。書いたものを通じて自分を伝えるということは、ただ書けばよいだけではないと学ばせていただいた。

 2学期末には41個だったおはなしの木は、3学期末には100個を超え、模造紙に隙間なく埋まった。この「おはなしの森」が、子どもたちが楽しんで読書生活を続ける一助になってくれればと思う。
(京都女子大学附属小)