『お話大好きレター』で物語の大好きを紹介しよう 2年「お手紙」
谷 口 映 介

 主体的な言葉の使い手を育てる国語科教育を目指して日々実践を重ねている。低学年では、主観的な読みを生かして、人物の会話や行動から想像を広げて読む学習を展開した。

◆順位付けを通して、人物の行動や会話から「大すき」を見つける
 本実践で特に重視したのが、「言葉を順位付ける」ことである。順位を付けるには、文章を全体から捉えることと、なぜ選んだのか、理由や根拠を明確にしなければならない。そうすることで主体性が発揮され、コミュニケーションも活性化されるのではないかと考えた。具体的には、以下の過程を経て「お話大すきレター」に書く内容を考えることができるようにした。
@「いいなあ」の視点で全文シートに線を引く。(児童から出された視点は、「やさしいから」「おもしろいから」「うれしくなるから」「ちょっとへんだけど、わらえるから」というものであった。)
A線を引いた中から3〜5つを選び、付箋に順位を書く。
B順位付けをした理由を交流。
C交流を基に、「したこと1番(行動)」や「言ったこと1番(会話)」とその理由を書く。
D学習全体を通して見いだした大好きな登場人物やその行動または会話を選択し、「お話大すきレター」として友だちに紹介する。

◆意図的なグルーピングによる必然性のある交流
 グループは、全文シートに貼られた名前シールの分布から、同じ文を「言ったこと1番」に選んだ者同士で編成した。交流の視点として提示したのは、「なぜ、それを1番にしたのか」ということである。選んだ文は同じでも、理由は人それぞれである。「なるほど、そんな考え方もあるのか。」という視点がグループ交流を通して見つかれば新たな考えが生み出されるきっかけになるだろうと考えた。

◆学びを自分の「お話大すきレター」へ活用する
 自分が並行読書を通して選んだお気に入りのお話からも行動や会話に着目して、順位づけした理由を交流する時間を設定した。子ども達は、交流を通して、「なるほど」が多く発見できた。それを自分の手紙へと反映させたり、紹介されたお話を何度も読んだりする姿があった。学習の最後には,「ふり返りレター」も書いて交流した。シリーズを読んで,お話のつながりに気付いた子や,交流をきっかけに読む楽しさ,相手に伝えるための言葉の大切さなどに気付いた子が多くいた。
(滋賀大学教育学部附属小)