あめ玉 〜物語の山場とは〜
蜂 屋 正 雄

 『あめ玉』(光村5年)は、「いつ」「どこで」「だれが」「なにをして」「どうなった」という話の流れが、よく分かる短い物語である。山場もはっきりしており、子どもたちは楽しんで読み味わうことができることが予想できた。

 今回は、物語文の基本的な構成、「主人公」「山場」といったことを確認する中で、子どもたちの意見が分かれたため、それを課題として話し合いを進めた。

 主人公候補は「おさむらい」と「お母さん」。どちらが主人公で、本文のどこの文章からそう思うのかを話し合わせるために、まずは教科書の根拠となる文に線を引かせた。教科書の線を元に話し合いを進めたが、おさむらいが主人公だと考えたのは、男の子を中心とした子どもたちで、「子どもたちを喜ばせてくれた『いい人』だからこちらが主人公だ」という思いが強くあるようであった。山場での活躍の当事者であることが子どもたちの「主人公」という思いを強くしたようである。一方、お母さんが主人公という意見の子どもたちは、「気持ちがたくさん書いてあること」「記述が多いこと」が多くの理由であった。

 話し合いの決め手になったのは、「山場」の前後で成長したり、変わったりしたのはどちらか、ということであった。「お母さんは子どもたちをかばっていたり、『だまっておいで』と言ったり、おさむらいに対してビクビクしている。けど、山場の後では、おさむらいが優しいことが分かったから、もうこわがっていないと考えられる」ということが何人かの意見から見えてきた。おさむらいが主人公だと思っている子どもたちも、「おさむらいが実は優しい人だったこと」には同意をしていた。また、「物語の中では終始変わっていない」ということにも同意せざるを得ず、主人公はお母さんだ、ということで、話し合いがまとまった。

 文を根拠に話し合いができ、物語の面白さにも気づくことができた。国語科開きとしては「物語の勉強は面白そう」という感想の持てた学習であった。
(草津市立矢倉小)