▼福祉施設の職員(介護福祉士)として活躍している土肥さんの話。仕事で大事にしていることは何かという質問に対して「寄り添うこと」と返答。具体的な配慮や行動については「傾聴です」と。認知症の人は、「ご飯を食べていない。」「おなかがすいた。」「眠れない。」等をよく言われる。土肥さんは、直前に食事をすませているのを知っているので、普通は、「今、食べたでしょう」と促すが、それは通じない。

▼土肥さんは、先ず、受け入れるところから始める。「そうやね。おなかがすいてるね」と。「今は、夜中だから、お茶かコーヒーだったら用意できるからそれでいいですか。」と全面否定でなく、答えながら相手との妥協点を探るのだという。多くの人はその言葉を受け入れて理解し納得し安心されるとのこと。「傾聴」とは、その人の事実を受け入れる、そこから妥協点を探るというのが土肥さんの考え。

▼授業や生徒指導において「傾聴」の考えは通じる。「わからない」「できない」「知らない」は、子供世界の得意な用語。大人は「今、教えたでしょう」「しっかり聞いていないから」と全面否定では子どもは納得しない。言葉を事実と捉えると「傾聴」の言葉の重さが理解できる。「傾聴」とは「寄り添う」上で「生きようとする力を応援するキーワード」と土肥さんは言い切られた。(吉永幸司)