おみせやさんごっこ 
弓 削 裕 之

 「ものの名まえ」(光村一下)では、上位語と下位語について学習する。ものには、一つ一つの名前と、まとめてつけた名前があることを理解し、学んだことを活かしておみせやさんごっこをするという単元である。
 一年一組では、個人商店が立ち並ぶ、「一ねん一くみ にこにこしょうてんがい」を開くことになった。お隣のクラスは、班ごとに売り場を任された大型スーパーマーケット。本番では、お隣のクラスの子たちがお客さんとしてやってくるという仕組みだ。

 まずは、やりたいお店を決め、そこに並べる品物をノートに書いた。Aさんは、文房具屋さんを選んだ。えんぴつ、ふでばこ、じょうぎ、けしごむ、したじき、のり、はさみ、セロハンテープ、がようし、えのぐ。りょうめんテープに、あなあけパンチまで・・・。ノートには、Aさんが考えた品物が、28個も並んだ。次に、ノートを参考にして、カードの表に「品物の名前(下位語)」と絵、裏には「お店屋さんの名前(上位語)」と自分の名前を書いた。Aさんは人一倍たくさんの紙をもらい、休み時間やおうちでも品物づくりに精を出した。
 待ちに待ったおみせやさんごっこ本番。当日の朝、開店ぎりぎりまで、Aさんはお客さんに品物を入れてもらうための紙袋を作っていた。品物の数だけ、袋がないといけないからである。みんなで「おみせやさんとおきゃくさんの心得」を確認したあと、いよいよ商店街が開いた。

 文ぼうぐはかわいくもないのに、女の子が、「ふでばこ、かわいいね。ちょうだい。」といってくれて、わたしは、つくってよかったな、とおもいました。わたしが、大きなこえで、「文ぼうぐはつかいやすいですよ!ぜひかいにきてください!」といったら、「とってもかわいい!とってもかわいいのに、なんでだれもかわないんだろうね。」と、一人の女の子がいいました。わたしは、一人の女の子に、「きっと、わたしのえがじょうずじゃないからだよ。」といいました。けれど女の子は、「へたじゃないよ。とてもじょうずなえだよ。」といってくれたから、わたしはえがへたではないことに気づいて、大きなこえで、「つかいやすくてえがじょうずな文ぼうぐはいりませんか!」といったら、二くみのともだちが十人ぐらいわたしおみせにならんで、おみせのしなものをかってくれました。(Aさんの学習感想より)

 Aさんのお店では、お客さんがじゃんけんをするほどの大盛況の中、全ての品物が完売した。
(京都女子大附属小)