随筆を書こう「忘れられない言葉」
北 川 雅 士

 光村図書6年創造の「忘れられない言葉」の学習をした。3学期に入り、6年生の児童達にとってはいよいよ卒業を意識し始める時期となった。2学期の学期末に卒業文集の作文を書いたことをきっかけに、様々な事を振り返りながら、残り少ない学校生活を過ごしている。
 この学習では「随筆」という形で、これまで出会った忘れられない言葉について表現をしていく学習活動をおこなった。

<活動の流れ>
(1) 学習の導入。随筆とはどういうものなのかを確かめ、学習計画をたてる。
(2) 忘れられない言葉とその言葉に出会ったときのこと、言葉に対する思いを書き出す。
(3) 教科書の文章を読み、随筆の書き方を確かめる。
  (2)で書き出した言葉から随筆に書く言葉を選び、文章構成を考える。
(4) 随筆を書く。
(5) 書いた文章を交流し、アドバイスカードでコメントを書く。
(6) アドバイスカードを参考に、推敲し、清書する。
(7) アドバイスカードをもらった人と交流する。

 題材が自己の経験をもとにするということで、普段書くことに苦手意識がある児童でも自分のこれまでを振り返りながら書く材料を見つけることができた。自分にとって印象に残っている出来事なので、その言葉との出会いもくわしく書くことができた。しかし課題となったのはわすれられない言葉に対する自分の思いの部分だった。これまで経験してきたたくさんの出来事の中からえらんだ「忘れられない言葉」であるため、思いがないわけではない。自分にとっての忘れられない言葉、その言葉に対する自分の思いを伝えるための表現について学習をする必要があることを感じた。

 教科書に掲載されている随筆の例文にいくつかの表現の工夫が見られる。まずはこれを参考にしていくところから考えた。中でも「書き出しの工夫」「擬人的な表現」「読み手を引きつける表現」について3時間目に全員で確認し、まずは真似してみるところからはじめ、それを自分なりに書き直していくことにした。下書き後の交流の際も「言葉に対する思いが伝わるような表現ができているか」という部分を交流のポイントに設定して交流した。そして学習のまとめでも、同じ人と再度交流することで表現を変えた部分の変容について交流した。

 自分の伝えたいことが伝わるように効果的な表現の方法を選んでいくということは大人でも難しいことである。そのことをこの学習の指導をしながら感じた。子ども達が今後書く文章でも効果的な表現を活かしながら書いていこうという気持ちが育つように指導がしたいとも思った。そのためには、教師自身も普段書く自分自身の文章の表現に気をつけていきたいと考えさせられた学習であった。
(彦根市立城南小)