「ワールド・カフェ」へのご招待
弓 削 裕 之

 全国私立小学校連合会の夏期研修会に参加した。学級経営部会では、「ワールド・カフェ」というグループ討議の新しいスタイルについて提案があった。
 ワールド・カフェとは、会議室で日々繰り返される機能的な会議よりも、「カフェ」で行うようなオープンで自由な会話を通してこそ、活き活きとした意見の交換や、新たな発想の誕生が期待できるという考え方に基づいた話し合いの手法である。ミツバチによる他花受粉のように、自分が最初に話したテーブルでのアイデアが、どんどん他のテーブルに拡がり、交わり、新たな発想が生み出されるという特色がある。

○ワールド・カフェの進め方
・カフェスタイルのテーブルに4人で座る。
・10〜15分の会話を3ラウンド行い、各ラウンドでメンバーを入れ替える。
・テーブルの上に広げてある模造紙に、自由に書き込みをする。

〈ラウンド1〉テーマの探求をする。
各テーブルの中で、テーマについて自由に話し合いを行い、探求する。気づいたこと、発見したことなどを、敷いてある模造紙に自由に書き込む。

〈ラウンド2〉アイデアを他花受粉する。
 「ホスト」をテーブルに残して、他の人は自分が興味のあるテーブルに移動する。「ホスト」は、ラウンド1でどんな話があったのかをテーブルに来てくれた人と共有し、それを聞いた方も意見を述べて、どんどん模造紙に書き込んでいく。

〈ラウンド3〉持ち帰って統合する。
 最初のテーブルに戻り、ラウンド1、ラウンド2で得られた発見や気づきを共有し、話し合いを深め、3回目のテーマについて話し合う。

〈まとめ〉
 最初のテーブルでまとめをし、代表者が3分間で全体に発表をする。

 花粉の代わりに他テーブルで「言葉」をもらって帰るという、他花受粉という発想がおもしろい。もらってきた言葉を広げたいという意識や、ホストとして自テーブルの言葉を伝えなければという責任感が芽生える。職員会議はもちろん、子どもたちの話し合い活動にも活かすことができる手法だと感じた。
(京都女子大附属小)