子どもが主体的に学ぶ学習を目指して 〜言語環境を整備する〜
谷 口 映 介

 先日、文部科学省の水戸部修治教科調査官の講演を聞いた。要旨は以下の通りである。
(1) 指導のねらいをいつもはっきりさせる。
(2) 三つの教材研究をする。
 @教材本文の分析  指導のねらいに沿って
 A言語活動自体の教材研究  教師がまずしてみる
 B並行読書材の教材研究  ○年生にぴったりの絵本・本は何か
(3) 言語環境を整備する。
(4) 子どもの成長過程を考慮する。
 低…お気に入り・大好き
 中…心に響く・じんとくる
 高…あなたは、どう読んだのか
(5) 必然性のある交流を仕組む。
 交流に何の意味があるのかを子どもや教師が分かっていることが重要である。
 どれも、子どもが主体的に学ぶ学習を構築する上で重要であるが、今回は、言語環境の整備に焦点化 して考えたい。

【主体的に学ぶ学習と言語環境】
◆単元の学習計画表を示す。
 子ども自身が、「今日の学習では、何をめあてに学ぶのか」「今日の学習でどんな力がつくのか」を自覚することが大切である。そのためには、今まで指導者が持っていただけの学習計画を子どもに示す、または、子どもと考えることが主体的な学習の第一歩である。実際、計画表を示すことで、「今日の国語は何をするのですか」という質問は無くなった。また、第一次で言語活動のモデルを指導者が明確に示すことで、興味・関心が引き出され、それが単元の最後まで持続する姿も見られた。「やってみたい」「楽しそう・面白そう」が学習の原動力となる。第二次からは、自力で言語活動を遂行できるようになるために、教科書教材 を使って必要な力を身に付けていくことになる。その道筋も学習計画によって子どもが分かっていることになる。

◆語彙表・用語カードの掲示
 自分の考えや感想等を相手に伝える時、どんな言葉で表せば良いのか。その拠り所となるのが、語彙表である。自分にぴったりの言葉が見つかった時が、大きな学びの瞬間である。また、国語科の学習用語や学び方等も教室に掲示する。これらは、次の学習や、他の教科にも使えるものとなっていく。

◆温かい言葉が使える教室に
 「心があたたかくなる言葉され50音」は、常時掲示している。例えば、「あ…ありがとう」「い… いっしょに遊ぼう」という具合に、言われるとうれしい言葉をみんなで集める。みんなが安心できる言語環境も学習の土台となる。

 これらの他、様々な工夫をしながら、子ども自らが学習に向かって動き出す環境を作って行きたい。
(滋賀大学教育学部附属小)