学びと心と生活の「根っこ」を育てるシティズンシップ教育
池 嵜 繁 伸

 本校は、彦根市教育委員会の研究指定(人権教育)を受け、昨年度からシティズンシップ教育の推進に取り組んでいる。
 シティズンシップ教育とは、多様な価値観や文化で構成される急速に変化する社会の中で、よりよい社会の実現のために、様々な人と積極的につながり合い、主体的に社会参加できる資質(シティズンシップ)を育てる教育である。
 人権教育の視点としては、子どもたち一人一人が差別をはじめとした社会にあるさまざまな課題に気づき、自分たちで解決しようとする意欲や態度を身につけていくことが重要である。

 本校では、多様な価値観をもつ他者と協働し、社会的課題の解決に向けて主体的に活動できる「21世紀の社会の担い手」を育てることを目指して校内研究を進めている。子どもたちがよりよい姿に変容していくことこそが研究の成果である。そのために、常時的な活動に関する取組と授業改善の取組の二つを研究の大きな柱としている。
 常時活動では、「つながりを重視し、互いに高め合える集団づくり」を大切にし、三つの部会に分かれ取組を実施している。どのような集団に属しているかで、子どもの成長は大きく異なる。子どもの属する集団を、互いに高め合うことができる集団につくり上げていくことが重要だと考える。三つの部会が、それぞれ三つの視点で全校に組織的な働きかけを行っている。

【学びの「根っこ」部会】学習規律のある学び合い高め合える集団づくり
 *学習のルール提示
 *家庭学習・自主学習の手引等
【心の「根っこ」部会】帰属意識や自己肯定感を高めることのできる集団づくり
 *「自分を見つめる日」
 *道徳授業の充実等
【生活の「根っこ」部会】基本的生活習慣の定着と規範意識を高めることのできる集団づくり
 *ロング昼休みの年間計画
 *生活リズム健康チェック
 *毎月のめあてのふり返り
 *規範意識の構築について等

 さらに、授業改善の取組として、「自他の違いを認め合い、主体的に学び合う学習活動の創造」をめざし、国語科を窓口教科として、次の二つの視点で授業研究に取り組んでいる。
○言語活動による協働的に学ぶ学習
《学習形態の工夫:ペア・グループでの学習活動を取り入れる》
○課題解決型の学習プロセスによる主体的に学ぶ学習
《単元構成の工夫:地域や社会への発信を目的とした主体的に書く活動の充実を図る》
 今後、具体的な実践の積み上げにより明らかになった本校研究の成果と課題を広く発信していきたい。
(彦根市立若葉小)