吉永幸司の国語教室「夏期講座」in 京女から学んだこと
飯 沼 俊 雄
 8月29日(土)の夏休み最後の週末、吉永先生の国語教室が京都女子大学で開催された。全国各地から参加者が集まり、教室は満員であった。第1講座は「アクティブラーニング・単元を貫く言語活動、授業のアイディア1」、第2講座は「授業のアイディア2」、第3講座は「板書の模擬授業」、第4講座は「質疑応答」。さらに、好光幹雄教諭(大津市立小野小学校)と砂崎美由紀教諭(京都女子大学附属小学校)の先生方の模擬授業とお話も聞くことができた。講座が終わってからも、質問の列が途切れることがなかった。
 私は、3人の先生方に共通する一人ひとりを大切にした指導の姿勢をすぐにでも自分のものにしたい。一部の子どもだけではなく、全員参加の国語教室にしていきたい思いが強く残った。

 まず、吉永先生による音読指導。クラスの中で音読ができない子に焦点を当てて、この子だけでなくクラス全体を育てる指導。最初に指名するのは、音読の苦手な子ども。第一段階を読ませたら、読めない。2、3回繰り返して読むと、同じところを読むことになる。従って、最初の段落はクラス全員の理解が進む。次は、教師の出番。苦手な子どもが読んだ後、「よかったよ」「感動したよ」「いいところが3つありましたね」。他の子どもは聞いていないので、びっくりしている。すかさず、「ごめんね。せっかく上手に読んでくれたのに、感動したのに、みんなは聞いていなかった。だから、もう一回読んでくれる」と苦手な子どもにお願いをする。

 読むことを苦手とする子から読みを始めるという意外性は、実は、子供の読みの実態を知ること、キーワ ―ドや理解を必要とする語句に着目をさせること、そして、その子が理解でき読む力がつくということは、 クラスのほとんどの子が確実に力ををつけていることになる。勿論、力を持っている子も余裕があるので、繰り返し読みを重ねる過程で文章を覚える子も出てくるだろうと思いながら話を聞いていた。

 教室の「あの子」の姿を思い浮かべながら、自分がそれほど上手でないと思っている音読を、みんなにほ めてもらったらどんな表情を見せてくれるのだろかと想像する。それが、楽しい。音読といえば、家庭の宿題にしていたこともあったが、本当は学校で読むことの力を付ける、家庭で学習で定着をはかるのだということも理解できた。「国語は、あまりすきでない」「音読は苦手」と言う。きめ細かな指導をするときっと、好きという扉を開くのだろうなと思い2学期へ意欲が湧いてきた。今言われているUD教育、全員参加の授業づくりという教育にもが音読の指導にもあったことに気がついた。
 音読の例の他に、国語教育の基本を学んだ一日だった。
(湖南市立菩提寺北小)