巻頭言
「書く活動」を重視して
嘉 嶋 信 哉
 本校が吉永幸司先生からご指導を仰ぐようになって、今年で4年になります。平成25年11月には、研究主題「PISA型読解力を育む学びの創造〜自分の考えを書く活動を取り入れた授業づくり〜」で、吉永先生に講演会の講師をお願いして、自主研究発表会(国語科)を開催しました。全国から多数の先生方にご参加いただけたのも、吉永先生が指導と講師をお引き受けいただいたお陰と心より感謝しております。

 さて、今回吉永先生から本誌の原稿依頼についてお話をいただいた時に、「私は国語での実績がほとんどありませんから」と一旦お断りをしたのですが、内容は理科でも構わないとおっしやられましたので、寄稿させていただきました。

 私は、中高の理科の免許を持っていることから、理科専科を数年経験しました。その折には、小中連携で中学校の理科も指導しました。教科としての理科の目標はたくさんありますが、私か理科の授業で一番心がけたのは、児童に理科の面白さや楽しさを実感させることと、科学的思考力を育成することです。まず、理科の面白さや楽しさを実感させるために、私が実践していたのは、できれば1時間に一つ、少なくても単元に一つ以上の自作の教材や実験を取り入れることです。自作するには、十分な教材研究と準備が必要です。そうすることで、教師自身も授業に対するワクワク感が持てます。教科書にない実験をした時の、子供達の驚きや感動が理科への興味関心を更に高めます。また、科学的思考力を培うために、学習過程の中の予想と考察を重視しました。そして、結果の予想には、必ず理由を考えさせるようにしました。更に、実験の結果は数値や様態の変化等で現れることが多いので、考察ではそれをどう文章で一般化して表現するかを考えさせるようにしました。理科においても、予想と考察時には「書く」ことを必ず行いました。児童は「書く」時に最も思考を働かせますから、教科を問わず書く活動は欠かせません。勿論、何をどのように書くかの指導が前提ですが、書くためには時間が必要です。書く時間が確保できるように、授業展開の工夫と教師の指導力の向上が益々求められます。

 本校では、これからも、各教科において「書く活動」を重視した取組を続けていきたいと考えています。
(兵庫県小野市立大部小学校長)