「新しい国語の授業」研究会
実践提案から学んだこと
池 嵜 繁 伸

 「主体的な言語活動を通じて学び合う国語教室の創造」の研究協議テーマのもと、8月2日に「新しい国語の授業」研究会が今年度も開催された。

 実践提案と研究協議の提案者は、箕浦 健司先生(長浜市立神照小)。
 研究テーマは「主体的な言語活動を通して学び合う国語教室の創造」。単元名は「おすすめの本のPOPを作ろう」(教材名:光村6年「私と本」)。
 学級の子どもたちの読書生活を豊かにすることをねらいとし、星野道夫さんの作品を重ねて読む並行読書を行い、「お勧めの1冊のPOPを作り紹介し合う」という言語活動を単元を通して位置づけた授業実践である。  「書くこと」に対する関心・意欲や読書生活の個人差が大きいという児童の実態から、どの子もが課題に向けて主体的に学ぶことのできる言語活動として、POP作りを取り入れている。
 POPに書き入れる内容は、次の7つの項目。@著書名 A著者名 B出版社名 Cキャッチコピー D引用文 E解説文 Fイラスト。
 D引用文は、心に残った一文を選ぶ。E解説文は、引用文が含まれる段落の要約文を書く。文字数は100字程度。

○主な学習の流れ
 第1次
 o読書生活を振り返る。
 o学習活動の見通しをもつ。
 第2次
 o「森へ」を読む。
 o「森へ」を読み、POPを作る。
 oお勧めの1冊を決める。
 oお勧めの本のPOPを作る。
 第3次
 oPOPをもとに、お勧めの本を紹介し合う。
 ※単元を通して、星野道夫作品の並行読書を行っている。

 子どもたちの読書生活や関心・意欲に大きな個人差のある中で、すべての子どもが意欲的に学習に取り組み「本を読むことのよさ」を実感できるようにしたいという指導者の強い願いのもとに構成された単元であった。日頃の学習への取り組み姿勢に課題がある抽出児Yの意欲的な学習の様子から、指導者のきめ細やかな指導・支援と共に、お勧めの本のPOPを作り市立図書館に展示してもらうという学習活動が、どの子も課題に向かって主体的に学ぶことのできる原動力となったことは確かである。「森へ」を読み深めていく授業では、この成果は得られない。
 これからの社会を担っていく子どもたちに必要な「読むこと」で育てるべき力とは。また、それに対応した言語活動を通した主体的な学び合いを創造していかなければならない。その必要性を再認識できた実践提案と研究協議であった。
(彦根市立若葉小)