私と本 (その3)〜POP作り〜
箕 浦 健 司

 「本は友達〜私と本から」(光村6年)「森へ」を読み、心に残ったことを紹介する文章を書き、その後、自身のお薦めの本を紹介する文章を書く。これが教科書の展開である。しかし、書くことに関する学級の実態を考え、誰もが前向きに、進んで取り組める方法はないものかと思案した。本の帯作りなど、紹介する手法は様々あるが、子どもたちが経験したことがないもので、高学年としての内容を満たせるものという条件から思案した結果、POP作りに取り組ませようと考えた。

 まず、教師が作成したカードを見せて説明。多くの子どもたちが、普段の生活の中でPOPを目にした機会があった。次に、必ず入れる条件を示した。
 今回、必ず入れる条件のとしたのは、@ 書名 A著者名 B出版社名 Cキャッチコピー D引用文 E解説文 Fイラスト、である。
 D引用文については、「森へ」を読み、一番心に残った一文とした。いくつか選んだ中から一つに絞り込ませた。選んだ理由をノートに明記させた。
 E解説文については、百文字程度の内容とした。普段から、学習作文や要約文などは、百文字を目安に取り組ませていたからである。本文全体の要約というよりは、自分が選んだ引用文が含まれる段落の要約をし、引用文とのつながりがあるようにした。
 最後に、Cキャッチコピーを考えさせた。これが一番子どもたちにとって難しく、また、POPの出来を左右するものであると考えたからだ。キャッチフレーズを辞書で調べると、「人の興味・関心を引く短い宣伝文句」とある。まず、本のPOP以外にも、家電店や飲食店等のキャッチコピーを数点紹介。子どもたちは、短く、インパクトがあるものにする必要があることを理解した。
 では、「森へ」でキャッチコピーを作るなら、どんな言葉を使えるだろうか。全体で話し合った結果、次のような言葉が出てきた。<自然、大自然、迫力、動物、植物、生命、写真、感動、つながり>

 何度も本文を読み、教師の見本も参考にしながら、全員が「森へ」のPOPを仕上げることができた。黒板に貼りだし、お互いのPOPを見合い、参考にできるところを探した。2枚目のPOP作りのためである。星野さんの他の本を並行読書していたので、この後に紹介したいお気に入りの本が決まった人から、同じように引用文を決め、解説文を考え、キャッチコピーを作ることを進めていた。2枚目のカードは、1枚目の経験から、誰もがスムーズに作成することができた。
 単元終末、一人ひとりがお薦めの本とPOPを持ち、4人1組で話し合った。2色の付箋紙を持たせ、良かったところとアドバイスを書きこみ、伝え合った。以下、児童の感想。
「○○さんの紹介を聞いたり、POPを見たりしていたら、その本がすごく読みたくなりました。」
「同じ本を選んだ人でも、引用する文やキャッチコピーの付け方が違っていて、あらためて感じ方は人それぞれなんだなと思いました。」
 誰もが意欲的に取り組めたこと、友だちの作品に興味を持てたことが大きな成果であった。
(長浜市立神照小)