児童司会と学級集団づくり
飯 沼 俊 雄

 国語教育と学級集団づくりは密接に関連している。
 始まりは司会を立てて授業を展開する取り組みであった。どの授業でも、グループの話し合いの活動を設け、「グループで意見を出し合ってください。時間は8分です。質問はありませんか。」というように、グループ学習を促す働きかけをする。
 その働きかけをするのが、日直になった子ども。一日、黒板の前に机を置いて、みんなの方を向き、一日中司会を務め役割を果たす。この力が、各教科の授業における「グループ学び」という小集団におけるの話し合い活動においては、「司会」「タイムキーパー」「書記」「発表」という役割を一人ひとりが担い、司会者を中心に交流をしている。

 4月5月は、司会進行表を手元に置いて、司会をしていた子どもも、5月の中旬になると、どの子 も何も見ないで授業を進めることができるようになってきた。上手に進めているグループの話し合い をみんなで見合ったり、そのビデオを撮り、みんなで話し合いについて分析をしたりしてきた。1学 期は児童の言動を褒め、それを学級全体に広め、丁寧に価値づけを行ってきた。
 少しずつではあるが、進行表の枠にとらわれず、自然に自分の言葉で話せるようになってきた。

 帰りの会の一日の振り返りの中で次のような意見があった。
司会:今日のあったか2組を発表してください。
A:司会は緊張したけれど、みんながうなずいてくれたから、大きな声で話せるようになってきました。
B:間違っても、だれも注意をしないし、待ってくれる、聞いてくれる。励ましてくれる。だから、話し合いは楽しいです。
 次の日から、さらに司会の声が大きくなった。

 また、ある保護者から次のような話を伺った。
「去年は日直の前の日は、必死で司会進行表のプリントを見ながら、家で練習をしていたのです。不安でお姉ちゃんのクラスでも司会を立てて授業をしているので、お姉ちゃんにアドバイスをもらいながら。でも、今年は違います。自信が付いてきました。友だちに褒めてもらって笑顔で帰ってきた日がありました。」

 司会となる子どもが毎回固定せず、すべての子どもに司会を担当する機会を作ることで、当事者意 識と責任感が高まってきたように思う。同時に、「みんなと大きく」成長して行こうという意識が生まれてきている。
(湖南市立菩提寺北小)