お話大好き!お気に入りの場面をペープサートで演じよう
谷 口 映 介

 2年生の物語文『スイミー』(光村2上)を使って実践した。指導の重点は、以下の通りである。
◎単元全体を通して、「物語を演じる」ことを位置付ける。
◎物語の中の大好きな場面・心に残る場面・面白さを伝えたい場面を見つけながら読むことができるようにする。
◎ペープサート劇にするために、「登場人物・場面設定・事件や結末」をまとめ、登場人物の行動や会話に着目して場面の様子を読むことができるようにする。

 単元の導入では、単元の見通しと、「やってみたい」という意欲を喚起するため、教師がレオ=レオニの絵本を使ってお気に入りの場面をペープサート劇に表した。同時に、並行読書として、レオ=レオニの本を読書カードに記入しながら単元を通して読み進めた。この段階から、自分の選んだ本で最後にペープサート劇をするのだという意識を持たせておく。学習計画表を掲示し、毎時間流れを確かめることも大切にした。

 「ペープサート」を取り入れる大きな利点は、@お気に入りの場面を背景に描けること。Aペープサートの動きを考えることを通して、人物の行動に気をつけて読むこと。(読み取った人物の心情が動きとして反映されていく)B会話等に気をつけてセリフの読み方を考えることができること。が挙げられる。これは、本単元で身に付けさせたい力である「場面の様子を、登場人物の行動を中心に想像して読む」ことと重なり合う。

 そこで、第二次では、次のような学習を行った。
◆「スイミー」のストーリー展開を押さえながら何度も通読を繰り返す。
◆大好きな場面を探しながら読む。「行動や会話」に着目して、その理由を交流する。
◆全文掲示を基に、同じ場面を選んだ者同士、違う場面を選んだ者同士で好きな場面を演じる。

 学習の中で子ども達は、何度も教材を読み返し、スイミーの行動や会話から想像したことをペープサートの動きとして表現していった。交流では、「どうして、そんな風に動かしたの?」と互いが問いかけることで、「スイミーは、仲間がいなくなってとても悲しい気持ちで海の底を泳いでいると思うから、ゆっくりと動かしました。」などの発言が引き出され、想像が広がる場面があった。グループも同じ場面・違う場面と二段階で仕組んだことにより、「友だちの考えたことを聞いてみたい。」との思いを持ち、第三次でも交流を繰り返すことで、想像を広げることができた。今後も単元を貫く言語活動を通して、子ども達自らが○○したいと主体的に学ぶ姿を目指したい。
(滋賀大学教育学部附属小)