▼「かかわり」を研究主題にされている学校。校長先生・生徒指導主任の先生が校門で登校する子どもを迎えておられる。朝の出会いからあたたかい関わりが始まる。

▼その学校でちょっとした出来事が起きた。掃除の時間は、黙って仕事をするという約束がある。隆君は、気がつく子で、掃除に少し緊張感が緩んだ透君に、「がんばろうね」とささやいた。この様子が、掃除を見回る役割を持つ上級生の目にとまった。上級生はすぐにメモをした。

▼隆君は目ざとく上級生のメモ(今の様子)が誤解されたのではないかということを気にして担任の先生に相談。進んで誤解を解くために、上級生を尋ねた。応援に透君も一緒に。「誤解されているといけないので」と前置きして、ことの子細を上級生に伝え、「よく分かった。大丈夫」という返事をもらい教室へ戻っていった。

▼ことの子細は分からないが、私の経験からでは大きな出来事になる芽を孕んでいる。なぜなら、隆君が、担任に相談し、上級生に話をせず、自分の思いで家庭に伝えれば、事情を知らない父母が大騒ぎをするという事例を多く知っているから。自分のことをしっかり伝えた隆君、それを支えた透君、更に、下級生の言い分を受け入れた上級生の見事なトライアングルが、「かかわり」のお手本のように見えた。※児童名は仮名(吉永幸司)