興味がもてなければ
北 島 雅 晴

 ある学級で「風切るつばさ」(東京書籍6年)を学習していたのだが、子どもたちの学習への意欲が高まらないことが気になった。そこで学習を中断して、
「この物語に興味をもてそうかどうか答えてくれる。」
と言って、挙手をさせてみた。驚いたことに、この学級では、1人も「興味がもてそう」に手を挙げない。(他に受け持っている3学級では、半数が手を挙げたのだが。)
 もちろん、私自身の指導方法に課題があるのは確かだが、このまま授業をつづけてもうまくいくはずがないと判断し、思い切ってこの学習を打ち切ることにした。この時間は以下、次のように進めた。

1.興味がもてない理由を考える
 子どもたちの意見には次のようなものがあった。
*話が単純で内容が深くないように感じた。
*話が短く、展開が早すぎておもしろくない。
*みんなが一羽をいじめているようであまりいい気分がしない。
*仲間の死から話が始まっていて暗い感じがする。

2.この物語についての教師の考えを話す
 子どもたちは、それぞれに興味をもてない理由をきちんともっていると感じたので、この物語のよさを真剣に話してみることにした。
*中学時代に友達をうらぎってしまった私の体験談と、この話とがぴったりと結びつくこと。
*だから、ここに出てくる登場人物の思いや行動が、少し分かるような気がすること。
*自分に置き換えて考えると、この物語がよく分かること。 等

3.まとめの感想を書いて終わる
 私の話がどれだけ響いたかは定かでないが、まとめとしての感想を書いて学習を終えた。
【感想の一部】
○ぼくは、はじめはしょうもない話だと思ったけど、北島先生の話を聞いて、自分がこういう立場になったらどうしようかと考えてみました。
○登場人物を自分に置き換えてみると、「風切るつばさ」の見方が変わると思った。夏休みにもう一度読んでみようと思う。この話のつづきを自分なりに考えてみたいと思った。

 子どもが興味をもてない教材は、学習も高まらない。教材そのものに課題があるということではなく、教師がいかに導いていくかにかかっていると感じた一こまであった。子どもの興味・関心と教えなければならないこととのバランスは非常に難しい。
(草津市立志津小)