読書指導と、読書生活の指導
森  邦 博

 小学校学習指導要領、国語、「読むこと」の目標には、能力と態度とが、「とともに」との言葉で結ばれて示されている。読書の態度と読むことの能力とは別々にではなく、ともに実現されることが望まれるのだと解釈している。

 光村図書の国語の教科書を見ると、八つの読書に関する単元が一年生から六年生までに用意されている。また、そのほかに、「続けてみよう」という巻頭のコラムにも読書に関する内容が示されている。まずは、読書に関する単元。
 一年 ほんはともだち  むかしばなしがいっぱい  本をえらんでよもう
 二年 お話クイズをしよう
 三年 本を使って調べよう
 四年 「読むこと」について考えよう
 五年 広がる、つながるわたしたちの読書
 六年 私と本
 低学年の「楽しい読書」から、中学年の「幅広い読書」へ、そして、高学年では「読書生活を考える」へと発展させる単元配列になっている。確かな読書指導のためには、国語科の「読むこと」の単元としてしっかりと位置付けることが大切であることが分かる。

 また、「続けてみよう」では、
 二年 本のにっき(月日、題名、作者名、一言を書く) この本おもしろいよ(月日、題名、作者名、おすすめを書く)
 五年 「日々のことを記録しよう」の中に読んだ本(月日、書名、作者・筆者名、感想、心に残った言葉)を記録する
 六年 「十二歳の言葉を残そう」の中に「言葉日記を書く」「スクラップブックを作る」「世界に一冊の詩集を作る」
が示されている。
 これらは、子ども一人ひとりの生活の中に読書の足跡を残すことが目指されていると言える。

 読書は時には、集中して取り組むことも大切である。また効果も上げられるので、単元の学習過程に読書活動を位置づけておくことは能力と態度育成には必要である。
 一方、読書は生活の中で続けられて、習慣化、態度化していくことも同時に大切にしていきたい。これは、子どもが「できそうだ」と思える負担の少ない、短時間できる内容にする工夫とともに、息長く続けて経験を蓄積していくことで、「こんなに続けてきたんだなあ」と子どもが振り返って、改めてその大切さに気づくように配慮したいものである。確かな読書指導を支える「豊かな」読書生活の指導である。
 学級での取り組むこととともに、学年や、全校が同じ歩調で「みんなで」やる(やれる)とよい。家庭との協働の取り組みも考えられるともっとよい。
(京都女子大学非常勤講師)