宿題の書く「もしも私が○○だったら」
蜂 屋 正 雄

 4月当初から「作文ノート」として、国語の縦書きのノートを半分に裁断したものを子どもたちに配っている。教師の思いとしては「交換日記」である。
 自己紹介に始まり、最近の出来事、初めての入り授業の様子、校外学習の感想、道徳の授業の感想など、基本的には宿題で書いてきてもらうものではあるが、書き残しておきたいという授業にも使用している。

 今年度担任している学級の子どもたちは「書かなければいけないということなら書ける」子どもたちである。しかし、「何でもいい」と言われると途端に書けなくなる。卒業文集や国語科の物語を作ろうに向けて、少し書き慣れることも必要だと考えて、創作作文に取り組んだ。

「『もしも私が○○だったら』という題で、ウソ作文を書いてきてください。」という課題で宿題を出した。こちらの目論見としては、今まで読んだことのある本や漫画のストーリーをまねて、物語を書くことを楽しんでくれたらと思っていたが、書いてきた内容を見ると、
 ○ 魔法使いになって、空を飛んだり、遊園地に入ったりする。
 ○ お金持ちの女の子になって、困っている人を助ける。
 ○ 透明人間になって、友だちやうちの人にイタズラをする。
など、面白そうではあるが、話の骨組みが書かれていた。「想像ができない」「何を書いたらいいのかが分からない。」という子もいたので、野球などの子どもの得意なことを題材にすること、また、好きな本や漫画のストーリーを参考にすることを伝えた。

 後日、「では、この設定で、実際にお話・物語を書いてきてください。」と言って宿題を出した。すると、
 ○ 私が魔法使いだったら、動物になりたいです。猫になって、外を歩き回り、いろんなところに行って、いろんなことを聞きたいです。
といったように、多くの子どもはあらすじを書いてきてくれた。

 三度目、会話文のある物語にしてほしいこと、また、書き出しの例を書き加え、「同じ設定で、会話文を入れて、物語を書いてきてください。」といって、宿題を出した。ずいぶん、会話文があり「私は」という自分が主語の物語を書けるようになってきた。まだ、大変楽しそうな内容であるが、自分が主語になっておらず、会話文もないものが1/3程度見られる。週に一度か2週間に一度の宿題であるが、子どもたちは楽しそうに取り組んでいる。

 物語の中には、ウソ(創作)であることが大前提であるが、子どもたちの願望や思い、ものの考え方が現れていて、どの作品も魅力的である。またお題を変えて、創作作文に取り組んでみたい。
(草津市立矢倉小)