「ぼく・わたし」で詩をつくろう
弓 削 裕 之

 好光先生の「手」の実践に刺激を受け、子どもたちの未来につながる授業をと、2年生最後の参観日に臨んだ。「自分のことを考えながら詩をつくる」というめあてだ。
「弓削先生は、どんな先生だと思いますか。」
 やさしい先生、かしこい先生、ときどききびしい先生、楽しい先生、いい先生、カエルが好きな先生、見どころのある先生、未来へみちびいてくれる先生、字がきれいな先生、かっこいい先生…。うれしい言葉が並び、少し照れながら板書する。
「先生も、自分のことを考えながら詩をつくってみました。」
 4枚のフラッシュカードを順にはっていく。初めは<やさしい先生>。うんうんと頷いてくれた子どもたちに、ありがとう、と返す。
「自分のいいところを言うのは、恥ずかしいことではないんですよ。」
 次は、<なみだもろい先生>。これには、ええ〜という反応。
「先生、みんなの前で泣いたことなかったかな。実は、学習発表会の時、舞台袖でこっそり泣いていたんですよ。」
 <たまに大事なことをわすれる先生>というカードをはると、これには「そうそう!」と納得の反応が。
「そんな時、みんなが助けてくれたんですよね。」
 最後はとっておきの先生です、と焦らして、<そして>の後に<みんなのことが大好きな先生>をはった。子どもたちがほっぺを真っ赤にしてほほ笑む。大好きという言葉を伝え続けた1年間だった。

◇かっこいいぼく
 正直なぼく
 やさしいぼく
 字がきれいなぼく
 かしこいぼく
 そして
 家ぞくが大好きなぼく
 クラスのみんなが大好きなぼく
 弓削先生が大好きなぼく

◇おっちょこちょいのわたし
 本がすきなわたし
 うんどうずきなわたし
 かしこいわたし
 そして…
 家ぞくにめぐまれているわたし

◇運動がとくいなぼく
 おぼえるのがとくいなぼく
 わらわせることができるぼく
 すぐおこるぼく
 そして
 家ぞくがたいせつなぼく

◇なきむしな私
 わすれんぼな私
 おこりんぼな私
 本が大すきな私
 おりがみが大すきな私
 すごくきびしい私
 お歌が大すきな私
 しあわせな私
 おっちょこちょいな私
 なににでもきょうみをもつ私
 あそぶことが大すきな私
 お手つだいが大すきな私
 そして
 自分のことが大すきな私

 保護者の方から、「集大成のような授業をありがとうございます」という言葉を頂いた。子どもたちの「学校大好き」を支えてくださった保護者の皆様に、感謝の気持ちでいっぱいになった。後日、ある児童のお母さまから、亡くなったおばあさまの棺に、「わたし」の詩を書いたものを入れたという話をお聞きした。おばあさまに差し上げるために、あらためて書いたのだという。
 2年生最後のノートには、「弥生十八日(水) ありがとう」とだけ綴った。
(京都女子大附属小)