継続は力なり 〜年間を通した取り組みから〜
北 川 雅 士

 1学期の学習を進めている際、わからない言葉はすぐに友だちに聞いたり、「先生教えて」と解決する姿が目立った。国語の意味調べでも、自分で意欲的に取り組む姿も少なかった。そこで、1学期の途中から「まずは国語辞典を使い調べる」という事を積極的に取り入れた。国語以外でも意味の分からない言葉はとにかく調べるように取り組んだ。
 意欲を高めるために、休み時間に辞書をひく速さを競争するゲームを子どもたちと一緒にしたこともあった。教室に付箋を用意しておき、調べた言葉には付箋で印をつけるようにして、付箋がふえていくことで、学習のあとを残すと同時に、喜びを感じることができるようにしてみた。1学期は学習時に辞書を用意していなかった子ども達も、2学期になると、学習開始時には辞書が欠かせないようになっていた。

 3学期「わらぐつの中の神様」(光村図書5年)では、学習したことを生かして、5年生の1年間に読んだ物語の中で一つを選び、本紹介を行った。本紹介を行う際には、「わらぐつの中の神様」の教材を通じて「作品の特色をとらえる」という点を学習し、本紹介の際にも「自分の紹介する本の特色はこういうものだ」という考えを書いて紹介するように計画をした。
 学習の導入で、本紹介をするという事を伝え、「わらぐつの中の神様」の学習を進めた。しかし、子どもたちから質問が出た。
「特色ってなんですか?」
 たしかに特色がどういうものか分からなければ、特色はとらえられない。すぐに他の児童から声が聞こえた。
「調べよう!」
教室中の子どもが一斉に辞書をめくり、言葉を探し始める。やがて教室あちらこちらから、
「見つけました。」
「見つけた。」
「あった。」
の声とともに手が挙がる。そんな様子をとても嬉しく感じた。ちょっとした気付きから声をかけ、取り組みをはじめたことではあるが、楽しそうに辞書をめくり次々とあがる手をみていると、「1年間取り組んできてよかったなあ」と心から感じるとともに、ぜひこの姿が今後の学習にも生かされることを願うばかりである。
(彦根市立城南小)