▼新潟における「『新しい国語実践」の研究会』で若井彌一先生(仙台大)の講演は次の問いかけで始まった。「子どもたちが本気にやる気を起こして明日もがんばるのだと思う、その言葉はどのような言葉でしょうか?」

▼Shall We ダンサーの教師役をした俳優の草村礼子さんを講師に迎えた際に、先生方に問われた言葉で新鮮な驚きを受けたというお話が続く。「子どもたちの心に気持ちよく響くことばであってこそ、初めて教育的に意味のある言葉となるのではないでしょうか。」さらに「私は、俳優として一瞬一瞬に言葉をかけています。ある場面に最も相応しい言葉、表現の仕方があります。見て、聞いている方々が本当にそうだと思ったときに、私は俳優として役割を果たすことができます。学校の先生はどうでしょうか」と。

▼子どもにとって学校生活の多くは教師の言葉でなり立っている。「おはよう」から「さようなら」まで。俳優として「もっとも相応しい言葉、表現の仕方」という意味を、この子にとって、あるいはこの瞬間においてと置きかえて考えるとき、「心に気持ちよく響く言葉」だったかどうかを問い返したいと思いながら聞き入った。

▼ほめる・叱るを越えて、今、この一瞬を大事にし、明日もがんばるという言葉をかける力を持ちたいと思った。(吉永幸司)