第19回「新しい国語実践」の研究会新潟大会
「読むこと」の分科会で
森 邦 博

 私は、「読むこと(文学的な文章)」分科会の助言をさせていただく立場で参加した。
 小学校は、二本とも二年生で、しかもともに「単元を貫く言語活動」を位置づけた授業実践の提案 であった。「単元を貫く言語活動」を位置づけることが定着してきていることを感じた。

 清水由美先生(札幌市立中の島小)の提案では、学校の年間指導計画に「単元を貫く言語活動」を 位置づけての実践であった。
 一学級での、一単元の指導の工夫とその成果の報告というのではなく、年間を見通し、学級相互の 横のつながり、学年間という縦のつながりを持ち、学校全体の教育実践課題に据えていることがうか がえた。
 授業改善の取組を計画的、継続的に発展させていくため、学校全体で年間指導計画を共有すること。実践記録を基に、子どもの変容を見つめて、成果と課題を整理して次に生かしていく。このことは、学級だけでなく学校の教育実践マネジメントにおいて大切な点ではないかと思う。
 また、前年度の学年の実践を、次年度にそのままスライドさせるのではなく、子どもの実態の違い を考慮に入れて、修正・補強して取り入れていく。このような一年一年の歩みを通じてその学校のカ リキュラムが形成されていくことを期待したいと思った。

 松井智史先生(富山大附属小)の提案では、単元の学習を通じて子どもをいつ、どのように評価す るのかが話題になった。
 主体的に学習に取り組む態度の育成を目指すためにも、教師の評価は必要である。とともに、子ど も自身が学習の見通し、自らの学びの過程を振り返ったりする場面を計画的に取り入れていくことは 指導者としての基礎・基本であろう。

 小林千由紀先生(笛吹私立浅川中)は、古典(竹取物語)の紹介文を書く言語活動を位置づけた単 元を提案された。
 特に私が感動したのは、先生の生徒観が実践に取り組む後で大きく変わったことであった。学習に 意欲を見せない子どもたちが、学習活動を積み重ねるうちに、質問し合う姿が見られるように変わっ ていった。そのことが先生の子ども観を変えていったのである。
 提案の最後に「子どもたちはどの子も自分の読みを大変素直に紹介文に表しています」と、子ども の文章を紹介された。
 実践を通じて、子どもが変容することを喜びとする、その子どもの姿が、子どもを見る目を変化さ せる。実践を通じて子どもと先生はともに成長するんだな感じたのであった。
(滋賀県教育会)