巻頭言
授 業 改 善
坂 井 辰 美

 本校のある愛知県一宮市では、全小中学校がコミュニティースクール(cs)の指定を受けている。本市のcsでは小中連携と地域連携が大きな柱となっている。本中学校区のcsでも、小中連携を進めるため、まず学習ルールを統一したり、相互の授業参観や中学校教員の出前授業などに取り組んだりしてきた。

 昨年度からは三小学校と一中学校が一堂に会して研修会を行っている。昨年度は「音読を授業に生かす研修」に取り組んだり、小学校教員も含めた教科部会を開いたりして相互理解に努めてきてきた。本年度は、「ノート指導・板書の仕方について学び、考える子どもを育てる。」を小中合同研修のテーマと設定して年度当初より研修に取り組んできた。年度当初、板書の仕方やノート指導の基本を各教科部会で話し合ったり、板書と生徒のノートとの関連について研修を深めたりしてきた。

 このように、一学期間研修を積み重ねた後、「京女ノート」などの実践で知られる吉永幸司先生をお迎えして研修を深めることとなった。今回の研修会では、前半小中学校の教員が教科ごとに分かれて一学期の実践結果(A4一枚に板書と児童生徒のノートを並べたもの)を持ち寄り検討した。後半吉永先生の京都女子大学付属小学校での実践内容を例にご指導を頂いた。その中で特に参考になったのは、@板書、ノート指導を学校づくりの中心としたこと。Aノート検定の基準を形式中心にしたことの2点である。

 まず、@については、ノート指導の基本を教師の話を聞き指示通りにノートが作れることと、ノートに丁寧な文字で書けることとした点である。人の話をしっかり聞き、丁寧な学習ができれば義務教育における問題の大半は解決できると考え、ノート指導に取り組むことで学校づくりを成し遂げたお話は驚きであった。

 Aについては、最初からノートの「内容」を審査の対象としないで、誰もが同じ基準で審査することができる「形式」を対象としたのは、全校で取り組むためにも秀逸な方法であると感じた。往々にしてノート点検は内容を対象にしがちであるが、判断基準が不明確で指導の成果がなかなか得られないことが多い。形式に重点を置くことで、児童の学習の質をあげることができることを学ぶことができた。

 二学期以降、今回の研修内容をどのように生かしていくかを今後教科部会などで深めていければと考えている。
(一宮市立浅井中学校長)