夏の国語科研究会より
三 上 昌 男

 今年の夏も国語科の研究会に何度か参加し、学ぶ機会を持つことができた。ここでは、参加した研究会で話題になったことを少し紹介したい。

 校内研究で「単元を貫く言語活動」を実践課題として取り組まれている学校があり、質問に答える形で話をすることがあった。単元を貫く言語活動を位置づけた「物語を読むこと」の授業づくりについて、学習の出口となる言語活動のアイデアを教えてほしいという内容であった。
 まず、国語科の授業を構想する場合、付けたい力を明確にもつことが肝要であることを話した。その上で、付けたい力に最適な言語活動を選定する基準として、言語活動の特性を理解することが大事であることを伝えた。
 物語を劇等で演じる活動を考える場合、ペープサート(紙人形劇)と紙芝居にはそれぞれの特性を生かした学習活動がある。ペープサートは、場面の様子を背景画に表し、登場人物の行動を中心に読み、紙人形を動かして表現することに適している。紙芝居は、物語の場面の移り変わりに注意して場面絵を描き、登場人物の性格や気持ちを想像しながら表現することに適している。
「この教材で、こんな力を、この子らに、こんな言語活動を通して」という指導の意図をしっかり持って授業づくりに取り組みたいものである。

 県小教研国語部会が主催する「第8回 国語力アップセミナー」に参加した。午後半日の日程で、授業づくりのアイデアを紹介する実践的な講座と国語科指導に関わる講話で構成されていた。今回の講話は、大先輩の西尾初音先生がお話をしてくださった。
「1行でもいいから日記を書くことを大事に指導してきました。」
 日記や作文の指導をずっと大切にしてこられた先生の一言一言が、重みをもって伝わってきた。日記や作文の指導を通して、子ども一人ひとりと関わる、子どもの生活や思いを理解する、自分の思いや考えを表現する力を高めることを目指してこられたのである。先生ご自身、現在も日記を毎日書いておられるそうだ。
「言葉で正しく表現し、理解し合うことを指導する国語科の役目を大事に考えたい。お互いの思いを伝え合い、理解し合い、円満に生きていく力を育てたい。」
とも語ってくださった。国語教育への思いを言葉にして後輩に伝えてくださった西尾先生に深く感謝したい。
 2学期は、子どもの国語力を高める授業実践を通して学び合うように努めたい。
(近江八幡市立八幡小)