巻頭言
ひよっこAPC
前 田 の ぞ み

 行きつけの釣り具屋さんにご縁をいただいて釣りニュースのAPCになり、もうすぐ1年になります。APCの仕事は、自分や、一緒に釣りに行った人達の釣果等を記事にすることです。

 釣りの世界は男社会。「釣りガール」なんて言葉が流行しても、男性の記事がほとんどです。その男性らしさが特に表れる、迫力あるワイルドな文章。それがたまらなく魅力的で、同じ記事を何度も何度も読んだことがありました。今でも憧れています。しかし、それを真似るばかりではなく、女性目線での記事を書こうと思っています。例えば、釣った魚をどのように料理して食べたかレポートしたり、船長さんの事を「船長が〜」なんて書かずに普段呼んでいるように「船長さんが〜」と書いたり。釣り情報誌において、文章が甘すぎるのではないか、馬鹿にされないかと、よく不安にもなりますが、これだけはこだわり続けたいんです。釣りに行く時の恰好は長靴にジャージの、典型的なおやじスタイル。でも文章の中だけは「女性」いや、むしろ「女子」でなきゃ。・・・なんて勝手な事を思いながら書き続けています。

 また、記事を書く時「釣れたぞ、どうだっ!」と、威張るだけの記事にならないようにも気をつけています。大きな魚を釣り上げたことやその魚とのファイトは、文章にするとなんとも勇ましく格好いいものです。ですがその情景描写に囚われるあまりに独りよがりのただの自慢にしてはいけないなと思っています。船長さんが良い場所に案内して下さったから釣ることができた、釣具屋さんが仕掛け等を整えて下さったから釣ることができた、京都女子大学で学んだ「〜していただいている」という考え方を忘れないよう心がけています。

 APCとしてはまだまだ若葉マークな私。でも、船長さんや釣具屋さん、記事にさせていただいた方々から「嬉しかったよ」「ありがとう」と言っていただけると、それはもうこちらこそ嬉しいんですよ。最近では釣りに行ったら、船の上で魚を釣る楽しさに、記事を書く楽しみも加わりました。

 京の五条の橋の下、薙刀ではなく釣り竿を振り回し追いかけ、やっと釣り上げたおばけみたいな92cmの鯉。その写真をご覧になって目をまん丸にされた吉永先生のお顔が懐かしいです。騒がしかったゼミ生は、瀬戸内の田舎町に居場所を変え、相変わらず魚を追いまわしています。先生から教わった『書く』ということの奥深さに魅かれながら。
(西部つりニュースAPC)