楽しく書ける日記指導を
箕 浦 健 司

 毎年、子どもたちには作文ノートを持たせている。学校行事や家庭での出来事などの日記も書くが、私が取り組んでいるのが「バラエティ日記」。森川正樹氏の『クラス全員が喜んで書く日記指導』(明治図書)を参考に、学級の実態にあわせてアレンジしている。

 子どもたちに複数のテーマを与え、その中から書きたいテーマを選ぶ。また、年度初めには、日記を書く時の約束を指導する。子どもたちに指導した内容は、以下の通り。 ○日付を書く ○題名を書く ○名前を書く ○書き始めは一マス空ける ○「 。」は単独一行で ○ノート1ページ分でまとめる
 既習の内容のはずだが、つい忘れてしまったり、おろそかになったりしがちな内容でもあり、丁寧に板書しながら指導する。

 次に、説明した約束と、全30テーマの一覧を書いた用紙を配布。作文ノートの表紙裏に貼り付け、常に確認しながら書くように告げる。
「『○○はまかせて!』か。ようし、得意な算数の計算について書こう。」
「『未来日記』か。先生、将来の夢のことでいいですか?」
「『○○は苦手』…いっぱいあるけど、何にしよう。」
「『先生へ』は、お願いでもいいのかな?」
などと、子どもたちの興味も高まっている様子。原則テーマは何を選ぼうと自由。ただし、一度書いたものは選ばず、残りの中から選ぶこととしている。

 テーマの多くは、子どもたち自身についての内容であり、得意なこと、苦手なこと、今がんばっていること、日々心の中で思ったり感じたりしていることなどがつづられるので、児童理解につながる。また、「未来日記」「もしもこんなものがあったら・・・」「紹介します!私の友だち」等のテーマは、なぜそうなっていると思うのか、なぜその人を紹介するのかなど、自分の考えについて根拠、理由を書くことが要求される。そのような力が繰り返し書くことで自然に身に付いていくのである。課題を課した翌日は、毎回読むのが楽しみである。

 日記指導も、スピーチの指導と同様に、出来事の羅列に終始し、最後に「楽しかったです。」で終わることのないようにと、方策を考え続けている。「もっと思ったことや感じたことなど、感想を入れて」「感想は、『楽しかったです』だけではありません。」などといった場当たり的、抽象的な指導を繰り返していた時期もあった。しかし、これでは子どもはどうしていいか分からない。日記やスピーチの中で、子どもたちが使える言葉を増やすことと同時に、書く力を高めること、そのままスピーチの構成につなげることをねらいとし、この日記指導に取り組んでいる。以下、ある児童の日記。


5月8日(木)
  先生へ
 明日はいよいよ5年生初めての参観日ですね。4年生の先生はかなり緊張して字がグラグラになっていたので、先生はそんなことにならないようにしてください。ぼくは、国語は好きだけれど、辞典で探すのはあまり得意ではないです。けれど、がんばりたいと思います。ぼくはいつも参観日にはかなり発表をします。だから、1回は必ずあててくださいね。明日は、先生やクラスのみんなの、いつもと違う様子が見られるので、とても楽しみです。
(長浜市立神照小)