登場人物の見つけかた
弓 削 裕 之
現在担任している2年生は、とにかく言葉にこだわる。毎時間、思わぬところで「ちょっと待ってください」と子どもたちからストップがかかる。 「ふきのとう」(光村2上)で文章中から登場人物を見つける学習のとき、子どもたちの間でこんなやりとりがあった。 C1 6・7ページに出てくる登場人物は、竹やぶとふきのとうです。 C2 竹やぶは登場人物ですか。5ページには〈竹やぶの竹のはっぱ〉と書いてあります。 C3 でも、8ページでは、竹やぶが〈すまない。〉と言っています。 C4 本当だ。 C5 雪と水も登場人物です。 C6 水はちがいます。雪が水になると書いてあるから、まだ出てきていません。 C7 お日さまも登場人物です。 C8 〈お日さまがあたらない。〉としか書いていないから、ここでは登場人物ではないと思います。 C9 でも、9ページに、〈お日さまがわらいました。〉と書いてあります。 C10 それから、〈おうい、はるかぜ。おきなさい。〉と南をむいて言っています。だから登場人物です。 これはよい学習をしているなと思い、次のように尋ねた。 T みんなは、登場人物かどうかが、どうやってわかるんですか。 すると、一斉に手があがった。 C11 かぎかっこがついているから、登場人物だとわかります。 C12 〈言いました。〉〈わらいました。〉などの言葉からわかります。 C13 〈ざんねんそう〉や、〈こまっている〉という言葉からもわかります。 「ふきのとう」では、登場人物として〈竹のはっぱ〉〈ふきのとう〉〈雪〉〈竹やぶ〉〈お日さま〉〈はるかぜ〉が出てくる。同じようなものであっても、〈ひかり〉や〈空〉は登場人物ではない。つまり、登場人物が人でない場合、文章をよく読んで細かな言葉に注目し、会話や行動から登場人物であるかどうかを判断しなければならない。登場人物ではなく、単なる事物や景色として描かれていることもあるからだ。2年生の子どもたちはそれを感覚的につかみ、学習へとつなげてくれた。 その日のノートには、学習の記録として「じんぶつの見つけかたがわかりました。」と誇らしげに記した。 (京都女子大学附属小)
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